第六話 ページ6
-Aside-
久々に笑えた気がした
中原さんは優しい
さっきだってそっと頭を撫でてくれた。
言おうとしたけど、慌てて手をどかしていたのを思い出して言わなかった。きっと私にばれたくなかったのだろうと思ったから
昨日の仕事をきっかけに中原さんと一緒に行動することが多くなった
そして2ヶ月が過ぎた頃だった
ガチャンと音がして誰かが入ってくる
『もー!中原さんノックしてくださいよ。前はちゃんとしてくれてたのに。最近多いですよ。全く。慣れたからといって12歳の少女の部屋に無言で入ってくるなん…』
そう言いかけて言葉を飲み込む
「悪かったな!でも今日は仕方なかったんだよ」
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目の前に置かれたのは見たことないような大きなケーキ。とは言っても他の人から見たら普通のサイズなんだろうけど。
『これ、私に…?』
「お前じゃなかったら持ってこないだろうが」
『でもどうして』
「お前今日誕生日だろ?首領から聞いた。なんつーか、そのおめでとってことで」
声がでなかった
こんなに嬉しいのは初めてで涙だけがボロボロとこぼれ落ちる
「なんだ、お前ケーキ嫌いか?」
私がケーキが嫌いで泣いていると勘違いしたみたいで一人で慌てている
嫌いなわけない。しかもそんなことで泣いたりしない。中原さんは天然。ずっと年上なのに時々可愛く思えてしまう。
伝えなきゃ。ありがとうって
『違うん、です、うれじくで』
泣きながらで上手く言えない
「なんだそうか。よかった」
すごくほっとしている様子。
『ありが、どうござぃまずっ』
「おう。とりあえず泣きやめ。そしたら2人で食おうぜ」
そう言って笑う表情はとても素敵だ
私が泣き止むまで背中をさすってくれた
逆にそれが涙の止まらない原因であったことは内緒
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作者名:凛霞 | 作成日時:2016年12月27日 0時