生きる理由【文豪ストレイドッグス】 (ページ31)

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第二十八話ページ31

『失礼します』

「何の用だ」

『泉鏡花のことについて聞きたいことがあります』

「鏡花か…。お前、名は何という」

『Aです』

「そうか。鏡花は生きている」

『本当ですか』

「だがこの件は僕に任せてもらう」

『何故ですか』

「僕の獲物と行動している」

『それって』

「兎に角この件から手を引け」

『ですが』

黒獣が私の方に凄い勢いで向かってくる

避ける時間も異能力を使う時間ない

もう無理だ

痛みはない

黒獣は私の目の前で止まっていた

「一度言ったことは聞け。次は無い」

あれが芥川さんの異能力

確かにここは任せた方がいいかもしれない

だけど紅葉さんのあの顔があの表情が頭から離れない

私は紅葉さんの為に鏡花ちゃんを連れ戻す

芥川さんの後をバレないように追った

地下牢へ向かう

さすがに中まで入るわけには行かない

耳だけに神経を集中する

声は聞こえるが内容まではわからない

誰が居るのだろう

地下牢に居るということは死刑待ちということか

あそこに入った人の末路は…

今はそんな事はどうでもいいか

話し声が聞こえた後

鈍い音がした

殴ったのだろう

足音がこっちに向かってくる

静かにその場から離れた

芥川さんが去った後

私は地下牢へ向かった