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「Aのこと……好きになれなくてごめん。」



1DKの部屋に彼の声が小さく響いた。



雨音が次第に強くなるのがわかった。



まだ15時なのに外は真っ暗で、雷の音も聞こえた。


だけど彼の声だけは受け入れたくない自分がいた。





「私………………帰るね。」



私は立ち上がって服を着て、彼の誕生日にプレゼントしたヴィヴィアンのネックレスを取って、家から走ってでた。



後ろから彼の声が聞こえたけど、なんて言っているかまではよく分からなかった。




「いっその事、雷でも私に当たっちゃえばいいのに。」



高校一年生の梅雨。


私はビショビショになりながら家に帰った。



「ただいま。」




律儀に言ったって家には誰もいないから何も返ってこないけど、言わなきゃ本当に独りな気がした。




こんなに孤独な時でも携帯には数件の着信と親友の友香からのメッセージが入っていた。





【別にあんたが空いてたらでいいんだけど、テニミュのチケット2枚取れたから来なよ。気晴らしにさ。】






友香は唯一の私のヲタク友達でもあり、心の許せる人でもあった。


それに美人で彼との事情も全部知っていた。






「私ってまだガキだなぁ…………」




そう呟いて、棚からピルを出して飲み込んだ。




元々生理痛が酷くて飲み始めたピルだったけど、最近は彼との子供を作らないために飲んでるようなものだった。







「もう必要ないのに……クセかな…………」






その日は何度も何度も泣いた。






それから2ヶ月たって友香との約束の日が来た。



席に座ってみはじめたけど、私の頭の中は彼のことでいっぱいで正直話の内容もそこまで見ちゃいなかった。




私は席の金具をカチカチと鳴らしてきっと迷惑な客だったと思う。



「きたよ、、ほら早く見て。」



友香が私にコソッと話しかけてきた。



友香に言われてステージに意識を戻すとそこにあの人はたっていた。





綺麗な瞳に切れ長の目、なんだか遠くの何かを見つめてるみたいだ。


演技のはずなのにまるで彼そのもののような気がしてたまらなく震えた。



別に演技が上手い人なんて他にもいたけど、あの人が私の特別だった。







終わったあと、友香に聞くと増田俊樹さんって言うんだよって教えてくれた。







私はあんな奴のことより、もう増田俊樹さんに心を奪われていた。

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設定タグ:梅原裕一郎 , 増田俊樹 , 声優   
作品ジャンル:恋愛
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桜井なお(なお)(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2022年9月12日 22時) (レス) @page15 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
- たくさん更新してくださりありがとうございます!現実でなかなかお祭りに行けない状況なので、読みながらかなりワクワクしています。今年の夏の思い出になりそうです。 (2020年8月17日 22時) (レス) id: 4cc89829fe (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - のさん» この作品を読んでいただきありがとうございます。これからも更新してまいりますのでよろしくお願い致します^^ (2020年8月14日 21時) (レス) id: 391a34789c (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - mitmit3223さん» 更新いたしました。コメントいただきとても感謝しております。続きもできるだけ早く更新いたしますのでよろしくお願いします (2020年8月14日 21時) (レス) id: 391a34789c (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ともかさん» 更新致しました。読んでくださりありがとうございます。今後も更新してまいりますのでよろしくお願い致します^^ (2020年8月14日 21時) (レス) id: 391a34789c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ノア | 作成日時:2020年3月11日 15時

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