昔の話 ページ3
これは、太宰がまだポートマフィアに所属していた頃の話。
─────
NOside
カラン……
「……織田作はモテるねえ」
織田「どうした、いきなり」
机に項垂れ、酒の入ったグラスの中の氷をつついている太宰。
その横には、静かに酒を口に運ぶ織田。
「私もモテる……少なくとも中也よりはね」
織田「中……お前の相棒か。それで、どうして俺はモテるんだ?」
「織田作には“本能”を感じないんだ」
織田「?」
「……多くの女性は、顔なんて二の次さ」
体勢を戻して、腕を組む太宰。
「男は顔で選ぶ……きっとね」
織田「何故判る?」
「判る…と云うか、本能だから仕方がないことだと思うのだよ」
顔を天井に向け、少し身体を反らしたまま太宰は語る。
「女性は昔は家庭の仕事ばかりしていたと云われているし、それの名残で、生活における安定が欲しいのだよ……云わば金さ」
織田「……」
織田は酒を飲みながら、只々聞いている。
「その逆で、男は利益を得ようとする。より良い子孫を作り出すために、質のいい女性を選ぶのさ」
織田「そういうものなのか……」
「必ずとは云えないけれど、そういう人間もいるということさ。知ってるかい?“人間”って言葉は勝手に作られた名前なんだ。イヌやネコに名前を付けるのと同じだよ。“ヒト”さ。
所詮は我々も、動物……言葉が話せるだけのね。だから本能的にそういう話も有りうるってだけ」
織田「なるほど」
「先日知り合った女性と食事に行ったら、前にお世話になった子と会ってね……危うく血の海になるところだったよ」
よく見ると、太宰の顔に少しすり傷のようなものがあった。
揉め事に巻き込まれたのだろう。
織田「そうか、それは災難だったな」
「退屈はしなかったけどね!次は私を殺しに来てくれる也もしれないし」
織田「お前の自 殺癖は相変わらずだな」
「相変わらず絶好調さ」
「嗚呼…。でも織田作はあまり女性に執着するような奴に思えない」
織田「そうか?」
「うん…そういう話も聞かないし」
太宰は椅子で一回転し、織田作の方を向くと笑顔で云った。
「織田作は私が女だったらどう?」
織田「どうもしないが…男でも女でも太宰でいることは変わらないだろ」
「そう…そういう所さ。織田作は何というか、他と違うというか」
24人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楓(プロフ) - みきさん» ありがとうございます!受験が徐々に近づいて来ますが、マンツーマンで頑張りたいと思います! (2019年7月25日 21時) (レス) id: 2075f0069f (このIDを非表示/違反報告)
みき - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい(*´∇`*) (2019年7月15日 22時) (レス) id: 359c6732d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:オワタ・楓 | 作成日時:2019年2月3日 10時