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帰ると、ユリとAがリビングで言い合いをしている。
一方的にAが負けてるけど…。
「お母様!聞いてよ!Aさん急に愛せる気無い…。とか言い出してんだけど!」
『言ってないし!!重すぎて迷惑かけたらどうしようみたいな言ってたの!!』
「その後言ってただろ!!」
ズーン。
負けた。Aが。
その後何日か経つと、彼女は外に出るようになった。夜に。
夜行性だ
★★★★
寒い。寒さを覚悟して外に出たがやはり夜は寒いな。ユリの上着を借りても冷たい空気がやってくる。手も寒いし。
「ねえーこの後どこ行くー?」
「どこでもいいぜ〜」
モブのカップルを見て呆然とする。
やっぱり謝ったほうがいいよね。ダリくんは悪くないし、ちょっと言葉選びを間違えただけで、
私が全体的に…。
涙が溢れる。彼がいないだけで私はこんなにも動けないらしい。
「あの…大丈夫ですか?」
ハンカチを差し伸ばしてくれた。
その彼は一体誰なんだろうか。
「あの…じゃ!このハンカチ返さなくていいですから!」
ぼーとしていた私にハンカチだけ渡して、去った彼。
全く身に覚えがない。
きっと知り合いなんだと思うけど。
ダリくんの知り合いかな。
後でお礼言わないと
★★★
「もしも彼氏が浮気していたらどうしますか?」
この返答に彼女は当たり前のように
『殺します』
と言った。彼女にとってそれは常識だったから。愛する人にすべてを尽くすんだから。それを騙しながら他の人と生活するのなら殺してもいい。
そうだと思っていたのだ。
「こえーよお前…!ちょっと可愛い女だと思って接してたが、終わりだな!!しね!」
初めて失恋した。
浮気してたから私が問い詰めたら、誤魔化すばかりその時咄嗟に殺してしまおうかと思った。
愛しているから
彼女にとって殺すのは愛なのだ。
この喧嘩みたいな地獄な空気が嫌だった。
その時立ち直れたのは、あまり彼を愛していなかったからだろう。
初めて愛する人に会った。その時絶対に手放したくないと思った。
もしも今回の喧嘩のことで、むしゃくしゃして私が彼に簪をお腹に刺してしまったら?
彼にもらった簪で彼を殺す。そんな事絶対にしたくない。
けど…してしまいそうで怖いのだ。
愛が重たい自分嫌いなのだ。
愛が軽かったらなあ。
プルルル…プルルル。
1つの電話がなった。
『もしもし…』
「A先生?!そろそろ職場来てもらわないと困るわ!収穫祭も近いんだから」
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作者名:ぐら | 作成日時:2023年12月25日 1時