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64話 ページ17

アオイの言葉が何度も僕の頭に流れた。その時、心の奥底に無理やりしまいこんできたものが動き始めた気がした


あの日、確かに僕は兄さんを殺した。しかも、その事をいつの間にか忘れて、気づいたら僕は兄さんになろうとしていた。リジアは死んで、ユニアが生きてる、そう強く思い込んだ


でも、結構それも上手くいかんかった。兄さんの事知ってるヤツらにはすぐにバレ、母さんにも呆れられ、挙句の果てに捨てられた


僕は完全な兄さん(ユニア)になれへんかった






___リジアの存在を消し、ユニアにもなりきれん僕は一体何者なんやろう



そんな事を悩み続けた僕に対するアオイの言葉


”ありのままのリジアさんでいてください”


その言葉一つで僕の心は救われた。今まで否定してきたリジアという存在をようやく少しだけ認めてあげる事ができた



『ありがとう·····アオイ··········!』



僕はぎこちない笑顔を浮かべながら、アオイに感謝の言葉を述べた。照れくささも多少あったが、アオイには感謝してもしきれんくらい助けてもらったから



アオイ「ふふっ!なんかリジアさん、変わりましたね?でも、私はそっちの方が好きです」



ふわっとした柔らかい笑顔でそう言うアオイに僕は何故かドキッとした



アオイ「これからはあんまり溜め込まないで、頼ってくださいね?私はいつでも力になりますから!」


『ありがとう。そう言うアオイも困ったことがあったら、僕に言えよ!』


アオイ「はい!」


マスカーニャ《マ、マーニャ!》



アオイばっかりずるいと言わんばかりにマスカーニャは僕に飛びついてきた



『ハハッ!マスカーニャもありがとうな!』


マスカーニャ《ンニャ〜〜〜!》



マスカーニャの頭をヨシヨシと撫でてやれば、嬉しそうな顔で喉を鳴らす



アオイ「マスカーニャもリジアさんのこと、心配してたもんね」


マスカーニャ《ニャー!ニャーゴ!》



マスカーニャはお得意の手品でポンッと一輪の花をだす。そしてその花をアオイの頭に飾った



『珍しい事もあるもんやな。アオイ、それはマスカーニャからのお礼や。やから、受け取ってくれへん?』


アオイ「お礼って·····私は何も··············」


『してくれたやろ?そんなことより、はよ出かけるで!』


アオイ「で、出かけるってどこに!?」


『そんなん決まっとるやん。林間学校のオリエンテーリングしに行くんやろ?スグリと·····!』


アオイ「···············はい!」

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作者名:ル二 | 作成日時:2024年2月17日 7時

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