羅の血は争えない【薬屋のひとりごと】 (ページ7)

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７話　噂の彼女ページ7

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翡翠宮といえば、たしか小蘭の友人がいるところだ。
なんでも突然翡翠宮の侍女となりここから出て行ったんだとか。

名前は猫猫といって、そばかす顔のあまり表情を顔に出さない娘だといっていた。また、甘いものをくれるんだと嬉しそうに話していた。

「わたしもその子に会ってみたいなあ」

そうひとりごちると、小蘭がすかさず拾ってくれた。

「猫猫ね、文字読めない子たちが困ってたら教えてくれるすっごくいい子なんだよ！」

「文字も読めるんだ、いいなあ」

Aは文字が読めない。
幼少期、攫われる前に老年の男(たぶん、育ててくれていた人)にすこし教えてもらった気もするが、もう記憶にない。屋敷で働いていた時は文字なんか習わなかったし、習う時間もなかった。
毎日屋敷で過ごすため、必要もなかったのだ。
たまのおつかいも、なじみの店に行って欲しいものを伝えれば買えた。

そのため、Aは文字が読めない。読みたいと思ったことはあるが、目まぐるしい日常の中で勉強する時間はなかった。

「じゃあ、今度もし猫猫が来たらぜったい会わせるね！」

「うん、ありがとう小蘭」

猫猫という娘、何故だかすこし聞き覚えのある名前の気がしたが、すぐに気のせいかと首を振り、Aは仕事に戻った。

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そしてその日は思っているよりも早く来た。

翌日、いつものように洗濯物を洗っていると、洗濯小屋の裏から小蘭がおおきく手を振ってAを呼んだ。

その後ろには、尚服の下女が着る服とは違う服を着た、そばかす顔の娘が立っていた。

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