羅の血は争えない【薬屋のひとりごと】 (ページ2)

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２話　労働と石ページ2

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台所へ向かうと、もう他の手伝いたちは食事の仕度をしていた。見たことのない娘もいる。きっと今日のために雇われた娘なんだろう。
Aはまず手を洗い、ざっと台所を見渡してから桶を持って井戸へ向かった。
一度桶をゆすいでから桶の半分ほどまで水を入れると、泣きながら玉葱を切っている見知らぬ娘の横に桶を置いた。

「玉葱は冷やして切ったほうが効率よく切れるよ」

「あ、ありがとう」

「あと今日は忙しい日だからそうやって困った顔してても誰も貴女を助けない。

わからないことがあったらすぐに周りに聞く事。聞きにくくても聞かなきゃお屋敷の人にご迷惑をおかけすることになるから必ず聞いて」

「は、はい…」

元気のない声で返事する娘を一瞥してから、裏の倉庫へ向かう。塩の入った大袋から小袋に塩を分け、台所へとまた戻る。
丁度塩が切れたから持ってきてと指示されている下女仲間に塩を渡してから次の作業に移ろうとしたとき、周女士に声を掛けられた。

「A、ちょっと市場まで行ってくれるかい」

「わかりました。砂糖ですか？」

「ああ。いつものところで買ってきてくれ」

「はい」

砂糖を買う分のお金が入った花の巾着を渡されて台所から出る。
巾着の中を覗き見るが、いつもと同じで余分なお金は入っていないようだった。けちんぼ女士め。

さて、市場に行くためだだっ広いお屋敷を出ようと本邸のまえを横切った時、コツンと足元に石が投げられた。

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