22. ページ22
一希.
『あっ、一希!』
エッジカバーを付けて、衣装のままで俺のところに向かってきたA。
適当に手を振りながら近付くと、Aは急にガクンとその場にしゃがみ込んでしまった。
「えっ、大丈夫?!」
『大丈夫……ちょっと力抜けただけ』
「そっか。ほら、掴まって」
Aの手を掴んで立たせると、まだ力が入らないのか、俺の肩に掴まったまま動かなくなってしまった。
「全然大丈夫ちゃうやん……歩ける?」
『わ、分からへん……緊張したんかな』
「試合のときは全然緊張してなかったのにどうしてん」
『皆、私のこと見てたから……』
Aの足は少し震えているのか、立ちにくそうに顔を顰めた。
しゃあない、そう思ってAに背中を向けると、渋々といった形で身体を預けられた。
「よいしょっと……今日はまだ素直な方やな?」
『歩けないから仕方なくやし……』
「はいはい。もうすぐ二十歳やのにおんぶとかウケるわ〜」
『うるさい』
背中にピタリとくっつくAが可愛くて、少しだけにやけてしまったのは秘密だ。
51人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお - 26話、「好きやねんやろ」よりも、「好きなんやろ」のほうがよいと思います。途中までしか読んでいないので、楽しんで続きを読ませていただきます (2019年1月5日 20時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ