検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:50,213 hit

第5話「琵琶の音」 ページ6

「鳴女」

「はい無惨様」



そう聞こえるや否や、鬼無辻さんは私の体を抱えた。
片手で抱えるその姿に驚くも、琵琶の音がベンッと鳴った。
音がなれば先ほど山にいたというのに、
今じゃ畳の部屋にいた。

非現実的な光景に私はキョロキョロとあたりを見渡した。
そこにはある女性が琵琶を持ちこちらを見つめていた。



「もうよろしいのですか?」

「ああ、もういい」



その人はまたベンと音を鳴らした。
その琵琶の音は低く、少し不気味だった。

鬼無辻さんは私をゆっくりとおろしてくれた。
私はそっと畳の上に足を下ろして鬼無辻さんを見上げた。
瞳孔は猫のように縦長で私と同じ異形のようだと、
一人で感じていた。



「あ、あの…私をどうして?
またあの人のように見世物小屋を?」



私はそう言って眉を寄せ鬼無辻さんを見つめる。
どうして店主を殺し私を誘拐し、
こんな所へと?

私には到底理解ができなかった。
この人は人間ではない。
私の本能がそう告げていた。



「いいやまさか。
君にはとっておきの仕事をやってもらいたいんだ」



頬についた乾いた血を鬼無辻さんは袖で優しく拭いてくれる。
私はその行動になぜか心が暖かくなった。
人ではない何かがそこにいる。

そのはずなのにどうして私はこうも胸が踊るのだろう。



「…その仕事は?」



私は瞳を細めてそう告げた。
その答えに鬼無辻さんは笑みを浮かべた。

私はどうせ帰るところもない。
ならこのまま留まってしまった方が楽なのでは?
私には、どうも自分で考えて動くということが出来ないようだ。
誰かの下についていかなくては。





「私の敵である人間を、
陥れてほしんだ」

「…人間…」



もしその上が、人ではない存在でも。

第6話「鬼」→←第4話「鬼だ」



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (192 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
348人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 鬼殺隊 , 女主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Karen1213(プロフ) - すっごく面白いです!もっと鬼舞辻無惨との絡みがみたいです!!更新楽しみにしてます! (2019年6月30日 14時) (レス) id: 23cf084fd5 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - ナ子。さん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年5月14日 20時) (レス) id: 855de7cb2f (このIDを非表示/違反報告)
ナ子。(プロフ) - 読ませていただきました。面白い設定なので面白く読ませていただきました('ω') (2019年5月14日 18時) (レス) id: 848e96a0c3 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - Airさん» ありがとうございます!そう言ってもらえると嬉しいです! (2019年5月13日 19時) (レス) id: 855de7cb2f (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - もうふさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月13日 19時) (レス) id: 855de7cb2f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:勿忘草 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月12日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。