神様と夏 ページ21
ジャポンの夏は暑い。気温も湿度も高く、吹く風さえ暖かいこの気候にもううんざりだ。
今まで自主トレで使っていた丘は日中ナッシング日陰で命取りになりかねないので、最近は散歩中に見つけたマイナスイオンたっぷりの林の中の神社に避難することにしている。
こんな場所に彼は似合わないな、と思ってわざと連れてこなかったのに…まるで待ち合わせしたみたいに私より早くこの場所にいたクロロに目を向ける。まったく、前世GPSか貴様は。
クロロ「A、俺と手合わせしてみないか」
前世GPSっていうのはおかしいな。うん、おかしい。私がそんなこと考えてるとは露知らず、天にも届きそうなくらい大きな杉の木の下で彼は、目を伏せたまま強く吹く風に声をのせた。
真っ黒な天使はいないけれど、きっといたら彼みたいなんだろう。守るべきもののために、ちょっと悪いことも平気でしちゃうんだ。
「何賭けるの?」
クロロ「昼飯かな」
「あははっ、本気になれそう」
ファミレスで3万使うガキだった彼は、見事に満腹中枢が仕事しないまま26歳になった。…負けるとかなりの痛手になるから負けられない。
「でも、“団員同士のマジ切れ禁止”じゃないの?」
別に勝負を渋るわけではなく、自分が作ったルールでしょ、と少しからかうつもりで言うと真面目な彼はちょっとだけ考えるような仕草を見せた。あれは言い訳に理屈をつけている時の顔だ。
クロロ「お前は何て言うか、団員って器じゃないし…まぁいいだろ、バレなきゃ」
「あははっ、買い被りすぎ。…ま、そうだね。別にいっか、バレなきゃ」
あんまり理屈じゃなかったのが意外でつい笑ってしまった。
「ルールは?」
クロロ「いらない。が、昼飯を食える程度の力は残しておけ」
「わかった。けど、この神社の境内から出たら失格ってことにしよう。私達、集中しちゃうとどうも、周りが見えなくなっちゃうからね」
クロロ「…まぁいいだろう」
「うん。じゃ、やろうか」
そうやって、死体の上に立って生き残ってきた
私達は何度も、何度も戦いを繰り返す。もうとっくに、ハッピーエンドを迎えられないのはわかっていた。でも、地獄の
あの日、満点の星空の下で運命が扉を叩く音を聞いた。いつか私が彼を止めなくちゃいけない。大切な人たちを守るために。
蝉たちが正午を告げる八月。もう、勝負は始まっているのだ。
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナツメ(プロフ) - 緑那さん» 緑那さんはじめまして、作者のナツメです〜〜\(^_^)/私も緑那さんのコメントを読みながらどきどきしちゃいました…!!めっちゃ励みになるし超嬉しいです〜〜(;_;)本当にありがとうございます!これからも頑張るのでぜひ読んでいただければなと思います! (2019年6月25日 20時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
緑那(プロフ) - はじめましてコメント失礼します……!興奮しすぎてまとまってない感想を殴り書きしたら普通に文字数オーバーだったのですごく簡単になってしまうのですが、読んでるあいだずっとどきどきしてました。自分でもびっくりです読んでてめっちゃわくわくしました……!! (2019年6月25日 17時) (レス) id: 3c1948d3a1 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - すーさん» わー!!ありがとうございます!頑張ります\(^_^)/ (2019年6月14日 6時) (レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
すー(プロフ) - 続き待ってます! (2019年6月9日 13時) (レス) id: 53cfd44f92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナツメ | 作成日時:2019年5月25日 23時