六等星 3

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物申す！ページ5

試験官「第一試合、ハンゾー対A！！」

第一試合は休む暇なくすぐに始められる。審判を務めるのは明らかにモブな試験官。目を離すと一瞬で忘れそうな顔だ。私とハンゾーは3mほど距離を空けて立たされた。他の受験生は端の方でその様子を見届けている。思えば、こうやって決められたルールの中で戦うのは初めてかもしれない。

試験官「私、立会人をつとめさせていただくマスタです。よろしく」

意外にも自己紹介から始めた審判にハンゾーが話しかける。

ハンゾー「よぉ、久しぶり。4次試験の間ずっと俺を尾けてたろ」

試験官「お気づきでしたか」

ハンゾー「当然よ。4次試験では受験生一人一人に試験官が尾いてたんだろ？まぁ他の連中も気付いてたとは思うがな」

いつまでもペチャクチャ話しやがって。

ハンゾー「礼を言っておくぜ！俺のランクが上なのはアンタの審査が正確だったからだ！」

試験官「……はぁ」

「ねぇ、そういう話は後にしてくれない？」

痺れを切らして言うと、あたりがシンと静まり返る。

キルア「おいおい、嘘だろ…」

ゴン「Aがまともなことを…」

レオリオ「一体どうなっちまったんだ！？」

ヒソカ「ククク……有り得ない♦」

クラピカ「落ち着け！おそらくこれは幻聴だ！」

ポックル「おい！！ハンゾーが息してないぞ！？」

クラピカ「きっとAに真面目に注意されたことへの驚きと屈辱があまりに大きすぎて脳が状況を整理できなくなってしまったのだろう」

地面に垂直に立ったままピクリとも動かないハンゾーと、それに駆け寄るポックルクラピカレオリオにマスタ。キルアとゴンは混乱したように私の表情を伺い、ヒソカはくすくすといつまでも笑っている。もはやこの場で平常心を保っているのはギタラクルとボドロと私のみである。これだといつまで経っても試合が始まらないので…

「ごめん、冗談！冗談で～す！嘘！全部嘘！スタンダッープハンゾ～！」

もともと立ってるけどな、と思いつつハンゾー
に呼び掛けると、ふっと彼の意識が戻る。

ハンゾー「それはそうと聞きたいことがあるぜ！試験官！」

そして何事もなかったような調子で試験官を指さした。それを見て野次馬たちも元の配置に戻る。

試験官「何か？」

ハンゾー「勝つ条件は『まいった』と言わせるしかねぇんだな？気絶させてもカウントはとらないしTKOもなし」

試験官「はい…それだけです」

「私も言いたいことがあるぜ！ハンゾー！」

彼を真似てビシッと指をさした。