あいつとこいつ ページ36
クロロside＊＊
Aが念能力をうまく使えないのは、既に別の誰かによって抑制されているからではないかと気付いたのは、もう随分前のことだった。
色々と準備に手間がかかったが、ついにその真実に迫ることができる。
カプセルの中で気を失い、すっかり大人しくなったAを見て思う。本当は、ただの女の子として友達とショッピングしたり、恋をしたりするのが世間から見ると幸せな生き方だったのではないだろうか。
まぁ俺はあいつにそんなことしてやれない男だが。でも、思う。思ってはいるよ。何度もこうやって自問自答している。
けれどAはいつも俺の悩みを踏みにじるように、嬉しそうに、楽しそうにしている。だからもう、いいのかもな。もう、別の人生に憧れなくても。
クロロ「…ていうかお前は、一体何なんだ？」
あえて突っ込まないでいたが、何故さっき逃がしてやった子供がここにいるんだ？
『………貴方こそ』
話しかけてもこっちを見ようとしないあたり、育ちが良くなさそうだな。
クロロ「あぁ、すまない。俺はクロロ。エドとは古くからの知り合いだ」
『……僕は
ソラと名乗った少年は、今初めて俺の目を見て話した。灰色の髪、同じ色の目に光はなく、“無”という言葉がよく似合う。
それにしてもエドの奴………相変わらずストライクゾーンが広いな。まぁ、流星街に居たときも子供からは好かれてはいたが。
クロロ「よくここに来るのか？」
『来るって言うか………住んでる。色々と手伝うのを条件として』
つまるところ、居候か。
クロロ「さっき“金が要る”と言っていたが、それは何故だ？」
『貴方ってさっきから僕への質問ばっかり。何でそんなに質問をするの？』
何となく、何となくだ。
きっとこの子供は賢い。そしてそこそこ度胸があって生意気だ。
Aが起きてたらきっと興奮してただろうな。………この文面だとあいつ結構やばくないか？いや元からやばいか。
しかしこの子供も面白いところを突く。
クロロ「…そうか…それは俺の癖なのかもしれない。
昔、あそこで寝てる女にも同じ事を言われた。でも、色々聞き出して取り入ろうとか、弱味を握ろうとかそこまで考えてないんだ。知的探求心っていうやつかな。気になったことを解決したい、俺自身がそういう性格なんだろうな。それに、退屈しのぎにはなるだろう？」
『…まぁ、そういうことなら』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナツメ | 作成日時：2018年11月19日 18時
