弓引きて、出逢ふ仲間

71話 ページ31

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早朝、矢張りランニングをしてお風呂に入る雅兄は神社に行ったのか姿は見られなかった

「早く行こう…」

重い足を動かし家に向かった

ｶﾞﾁｬ

そろそろと入るとリビングからは声が聞こえる。私と父が喧嘩をするのはいつもの事で家から飛び出るのもいつもの事。

全てがいつも通り


そそくさと部屋に入り荷物を手にする

玄「A」

「…なに」

玄「何故戻って来た」

父は不思議そうに私を見る
最も表情はあまり変わっていないが

「荷物を取りに来た」

玄「お前は何時までも子供のままだな」

「え、？」

玄「弓道をやめるまで帰ってくるな」

「･･･意地でもやめない」

玄「なら、お前は私の娘じゃない。さっさと出て行け！！」

娘じゃないと言われたのは初めてだった。
悔しくて悔しくて仕方ないのに、何処か納得している自分がいた


学校ではずっと浮かない顔で湊と静弥に嫌って程心配された


「大丈夫だよ！2人共心配し過ぎ」

部活に行く時も大丈夫か？と聞かれ私は笑顔でそう言った。でも2人は曖昧に顔を見合わせて苦しそうに笑うだけだった

弓を引いても心は晴れない
弓を引いている時は何でも忘れられた
嫌な事も苦しい事も父に言われた言葉も




でも今は何も聞こえない





弦音の音が聴こえない･･･───








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