第42話 彼女の生い立ち ページ44
夏油side
「顔を此方に向けなさいよ」
むりだ、やめてくれ
幾ら呪術師として気薄な学生生活を送っているんだとしても私だって健全な男子高校生なんだ…
これ以上、思春期の男子高校生の純情を弄ばないでくれ………
チラリとまた見てしまったが仕方無いだろう。
思春期でしかも想い人のAの身体だ。
興味が無いわけじゃない。興味しか無い。
「取り敢えず…服着てから話そう」
さぞ顔は赤かった事だろう。
滑稽な顔をしていた事だろう。
私の蚊のような声に神妙な顔をしながらAは私の腕から手を離し私はそのまま廊下に待機した。
私の息子が危なかった(半分アウト)。
「え?…あぁ、ごめんなさい。
実家では男所帯で、元々そういうのを気にする訳じゃなかったから」
「男兄弟が多いんだもんね…でも、絶対に駄目だよ」
「本当にごめんなさい。
お見苦しいものをお見せして」
(それは寧ろラッキーだったけれど…)
「気を付けるようにはしていたんだけれど…あぁ、そうだわ」
「なに?」
着替え終わったAにこれからは人前─特に男の前─では着替えないようにと散々言い聞かせた後、教室に向かう最中に言われた。
「私が寝ている時に二度と部屋に入らないで」
「…もう入らないよ」
「ならいいけれど。次は何するか分からないからやめてちょうだいね」
「私が部屋に入るまで起きていたんじゃないのか?」
「いいえ。私、人より眠りが浅いの。
少しの物音とか人の気配ですぐ目が覚めるのよ」
Aは私の方を見ないまま世間話をするように話した。部屋に入っただけであの警戒心…。矢張り家で命を狙われる事が多々あったのだろう。私には理解出来ない事だと思いつつ理解したいとも思った。
教室に戻った私に硝子は冷たい視線を、悟はゲラゲラと笑い転げ、乱闘になり、夜蛾先生に拳骨を食らったのは言うまでもない。
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卯月@スイ(プロフ) - ナッツさん» コメントありがとうございます!!がんばりますね! (2021年1月20日 7時) (レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - ニヤニヤしながら見てしまいました(^^)更新楽しみにしていますっ! (2021年1月19日 22時) (レス) id: 528660073f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas
作成日時:2021年1月14日 15時