第25話 見える弟と見えない弟 ページ27
「姉ちゃん!ボロいな此処!!」
オンボロオンボロと飛び跳ねる真琴を窘めるがテンションが高いのか全く言う事を聞く気配はなくバタバタと走り回る。
「真琴、走り回らないで」
「…ごめんなさい」
「ん。ほら、手を洗いに行くわよ」
しおらしくなった真琴の頭を撫で洗面所に連れて行く。
真琴の背では蛇口に届かないので抱き上げ様とすると夏油が代わりに持ち上げてくれた。
「こういう時は頼ってくれて構わないよ」
「ありがとう夏油。
それなら、この後ご飯を作るから真琴のこと見ててくれない?」
代わりにご飯食べてもいいから
夏油は三白眼を見開きながら頷いた。
「真琴、夏油の言う事をちゃんと聞いてね」
「うん!傑兄ちゃん遊ぼ!」
談話室にある備え付けのキッチンで料理を作り始めれば談話室に勝手に持ってきたオセロで遊び始める二人を見て微笑ましく思った。
「あ!ごじょーだ!」
「ゲッ……傑に遊んで貰えよ」
「ごじょーもあそぼ!」
談話室に入って来た五条に飛び付く真琴を邪険にしつつも遊んでくれるようだ。
「もしもし、太陽?」
「……姉貴か」
「久しぶりね。
実は真琴が呪霊に襲われたの」
電話越しに太陽が驚く声が聴こえる。
料理の片手間に携帯で通話する私に夏油が少し目を細めたが気付かないフリをする。
「真琴は無事なのか」
「無傷で元気いっぱいよ。
連絡が遅くなっけれど今日は真琴を此方で預かる事になったから」
「分かった……なァ、姉貴」
「なに?」
「俺もさ、呪術師になった方がいいと思うんだ」
「………死にたいの?」
「…そういう訳じゃ、ねぇけど」
「やめておきなさい。
術式を完璧に掌握出来ない人が来た所で足でまといよ」
「ッだけど!!」
「太陽」
「…」
「この話は聞かなかった事にするわね
じゃあ、明日真琴を家に連れて行くから」
「…分かった」
長弟の弟には大分苦労をかけていることだろう。
それにしてもまた八千草家の人間に何か吹き込まれたのだろうか。
どちらにせよあまりいい傾向にはない。
「姉ちゃん、今日のご飯なにー?」
「今日はハヤシライスよ」
味見用の小皿を足元にいる真琴にあげれば直ぐに食べて美味しい!と満面の笑みを浮かべた。
139人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
卯月@スイ(プロフ) - ナッツさん» コメントありがとうございます!!がんばりますね! (2021年1月20日 7時) (レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - ニヤニヤしながら見てしまいました(^^)更新楽しみにしていますっ! (2021年1月19日 22時) (レス) id: 528660073f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas
作成日時:2021年1月14日 15時