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第16話 とある姉弟の会合 ページ18

「へぇ、Aも何だかんだ満喫してるんだね」

「…そうね」


とある珈琲喫茶の二つのボックス席にそれぞれ一人だと言うのに我が物顔で居座る男女が居た。


八千草Aと鳴神雨


毎月第二土曜日、午後二時から午後三時までの短い会合
話しているというのに視線は持ち合わせた文庫本にあり、傍から見れば奇妙な光景が広がっている。


「ピアスは怒られないの?」

「注意はされたけれど特に何も」


ソファを挟み背中合わせに座る二人は窓の外から見ると同じピアスをしていると分かる。

八千草Aは左耳に
鳴神雨は右耳に

二人が身じろぎする度に少し揺れる真っ黒なピアスは二人の耳に居座りユラユラと揺れている。


「呪術師も大変だね」

「大変だけれどその分お給金も貰えるし文句は無いよ」

「…」


黙り込んだ雨を気にしつつも本を読み進めるA
雨は口を開けたり閉じたりと忙しないがそれが伝わることは無い。


「…僕はAが死んだらどうしようといつも気が気じゃないんだよ」

「…」


漸く話し出した雨に今度はAが無言で返す


「…じゃあ、私が呪術師を辞めた後の保証が貴方に出来る?」

「…ごめん」

「いいのよ。あと三年辛抱したら、全部丸く収まるの」

「五条悟を殺すつもり?」


Aの脳裏には今までの日々が思い起こされた。
最初は殺すつもりだった。

不意をつくならばきっとできるとずっと機会を伺っていたのも事実。
でも、殺したくないと今までの日々が結論を先延ばしにしているのも事実。

Aにとって初めての世界はとても居心地が良かった。知らない事だらけの世界でも夏油傑も家入硝子も……癪だけれど五条悟も良くしてくれている。

それでも結論を出さないといけなかった。


「…さぁね」




鳴神家当主の命令には逆らえない




「僕はもう行くよ」

「…うん、またね雨」

「またねA」




去り際にAが座っていたボックス席のテーブルには新しい文庫本が置かれた。
Aは最後まで鳴神雨の顔を見る事は無かった。



*****


鳴神 雨(15)

八千草Aと同い年だが身体が弱く呪術高専には通っていない

鳴神家の次男

八千草Aの異母兄弟

白髪に金色の瞳を持つ少年

凡そ呪術師の家系には相応しくない程優しい心を持つ

毎月、第二土曜日の午後二時から午後三時という短い時間にAと会っている

その際、彼は自身の手持ちの文庫本をAに数冊渡し、以前に彼女に貸していた本を回収し帰る

第17話 少女は独り考える→←第15話 最後はやっぱりお約束



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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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卯月@スイ(プロフ) - ナッツさん» コメントありがとうございます!!がんばりますね! (2021年1月20日 7時) (レス) id: 6ffd6a43ea (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ(プロフ) - ニヤニヤしながら見てしまいました(^^)更新楽しみにしていますっ! (2021年1月19日 22時) (レス) id: 528660073f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:卯月@スイ | 作者ホームページ:http://weareasas  
作成日時:2021年1月14日 15時

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