【ヒプマイ】3年前、俺の前から消えた女【碧棺左馬刻】

逃げる場を選び姿を消した ページ31

左『最近調子悪そうだな、大丈夫か？』



『えぇ、大丈夫
きっと試験勉強で疲れてるだけだから』


教師になるために大学に通っていた私は真っ先に教授に伝えた
成績がよかった私は前取りで教務員試験を受けさせて貰える事になった


左『あんま無理すんなよ』


『それはこっちのセリフよバカ』


教務員試験の合格を知ると
今度は産むか産まないか悩んだ
そうこうしている内にもういよいよ決めなければならない時期になってしまった



『…どうすればいいの』




1人で抱えきれなくなった私は猛さんに相談した



猛『私はアンタが産みたいなら産めばいいと思うわ


でも、その後どうするつもり？
一人で育てられる？かと言って左馬刻に話せるの？』


『猛さん、私ね、この子達を産みたい
でも、左馬刻の重りになりたくない』


猛『重りになるかならないかはアンタが決めるんじゃない

左馬刻が決めるのよ』


『でも、今の左馬刻に言ってしまえば彼は今の調子を崩してしまう

それが一番怖いの』


猛『じゃあ、堕ろすの？』



『……』



猛『しっかりなさい！！今アンタの問題は子供よ！この世界で生きて欲しいのかそうじゃないのか！

ちゃんとその胸に聞きなさい！』



『産みたい！
これから先、どんな事があっても私は…この子達を育てたい！』




それからずっと考えた
左馬刻に言わずにこの子達を産む方法を



中央区


そこに行けば左馬刻に会わずに産んで育てることができる
幸いにも働かなくても暮らせるお金はそこそこに貯まっている


一週間後にしよう
それまでに出来るだけ家の物を片付けよう
左馬刻に悟られぬように



左『よォA』


『いらっしゃい左馬刻』


左『…？部屋綺麗だな』



『元々綺麗よ
それより、一段落したの？』


左『いや、顔が見たくなったんだよ』


『ふふっ、私も寂しかった』


そういった時左馬刻は照れたようにはにかんだのを不思議とよく覚えている



左『今度おもしれェ奴紹介してやる
お前も絶てぇ気に入る』


『そう、楽しみねぇ』



ﾁｭｯ


左『おやすみA』



『おやすみ左馬刻



そして、さよなら私の愛した人』




眠る左馬刻にキスを落とし家を出た

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