短編集(オリジナル) (ページ4)

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今の貴女を守る人 3 ページ4

『ねえ、お姉ちゃんの何処が好きなの。』
可愛くない聞き方だろうが今可愛さなんていらない。
「ええっ！？急だね…えっと、いつも元気な所とかかな、1番は。」
お姉ちゃんは何処も1番可愛いだろう。
そんな事もわかって無いのか。
顔なんて赤くして、いけ好かない。
『何処で会ったの。』
「合コンだよ、人数合わせで呼ばれて困ってた時に話しかけてくれたんだ。」
合コン…！？
お姉ちゃんが彼氏を作りに行ったのか…？
「あっちも断りきれなかっただけみたいでさ。話があったんだよね。」
なんだ、そういう事か。
でもコイツはやっぱり気に入らない。

『僕はアンタみたいなチャラい奴にお姉ちゃんは渡せない。』
たった1人の姉なんだ、もっと真面目な奴がいい。
「言われると思ったよ。でも、僕は彼女がいい。」
真正面から言ってくるとは。
「確かに僕は見た目がチャラい。それは知ってる。でも定職にはちゃんと就いてるし、貯金だってしてる。酒もギャンブルも暴力もタバコもしない。」
本当に見た目以外はちゃんとしてる奴なんだな。
『アンタのチャラい部分は見た目だけなのは認める。でもやっぱりお姉ちゃんは渡せない。』
僕も本当は分かってる。
お姉ちゃんを取られたくないだけだって。
でも目の前のこの男が困る姿を少しでも見たい。
「そっか。君は、僕にお姉さんを渡すって言ってるけど、渡される訳じゃないよ。」
今までで1番真面目な表情のコイツは、僕の前に正座した。
『どういう意味だ。』
「君のお姉さんを渡されるんじゃなくて、幸せにしたいだけだよ。彼女を傷付けるもの全てから守りたいだけだ。」
僕の目をまっすぐ見てこの男は言い切った。
本心なんだろう。
僕もこの男に向き直って正座した。
『姉を、よろしくお願いします。』
お姉ちゃんは流石だ。
この世界で1番いい男を捕まえてきた。
もう、お姉ちゃんは僕に守って貰わないといけないような人じゃないんだ。
「こちらこそ、お任せ下さい。へへ。」
よく見ると、中々かっこいい顔をしている。
お姉ちゃんとお似合いだ。
「ゲームしよっか、弟くん。」
『はい！』
義兄さんとはまだ呼んでやらないけど、本当に結婚する時には呼んでやってもいい。
おめでとう、お姉ちゃん。