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そういったしんぺい神さんは説明もなしに何がなにか分かっていない私の腕に向かってゆっくり針を通した。暴れようにも針が入っているし、トントンさんは鋭い眼光で私を睨む。
本当になんなんだよ。なんでこうなったんだよ…。
注射は全然痛くないのに訳が分からず目に涙が溜まる。
頑張ってという言葉を皮切りにトントンさんとしんぺい神さんは重い扉の向こう側へ、私は絶賛放置プレイである。
1人になった途端の賢者タイム。
早く家に帰りてぇ、何なんだここは状況を整理しよう。私は病気で亡くなったはずだ。
その後、ここへ来て日本という国は存在しない…。
そこで私はハッと気づく。
死ぬ前私はいわいるオタクという部類でアニメやゲーム漫画あらゆるジャンルに手を出し尽くしていた。
そんな中に今の状況のような切り出しから物語が始まるものがあった。
「異世界……転生……？」
見慣れない風景に見慣れない服装言語は日本であれど
様々な容姿をした人々。
やっと私は自覚をした。転生したんだ。異世界に。
「嘘じゃん！嘘じゃん！異世界転生！？
いやでも待てよ普通そういうのってこう力が備わってるものなんじゃ私にも何かあるのかな
やべぇ！！興奮してきた！！やべぇ！！！！」
牢獄で1人大興奮の女ひとり。はっきり言って気色悪い。だが仕方ない。オタクという生物にとって異世界転生というものは1度は夢に見たシチュエーション。
憧れなのだ。
一発目で殺されかけて死ぬ思いをしたのだから別にこのような些細な喜びがあっても良いでは無いか。
やったー！！と感動の中拳を握りしめていると、
ドクンと心臓が跳ね上がる。
「ハッ……？」
さっきまでのぴょんぴょん飛び跳ねていた興奮はどこへやら、私の体は悲鳴をあげる。
床に倒れ込みピクリとも体を動かせない。
全身の血管がグツグツと沸騰している気分だ。
腹の辺りはジクジクと疼き出し、必死に空気を取り入れようとするが喉が締まる。
やっぱり打ち込まれたのは毒？やばい……
私の2度目の転生人生ここで終了、？
そう思いながら意識は落ちていった。
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作者名：おにく。 | 作成日時：2020年9月18日 3時
