八尺様 9 ページ11
お寺の奥座敷にひんやりとした風が吹く。静かな空間にカッコンと鹿威しの音が響いた。
叔『じゃあ、先ずは自己紹介だ。私は名瀬霽雲、藤ちゃんの叔父に当る者だ。この八坂寺と神社の現当主だよ。普段は住職兼神主だ、宜しくね中原くん』
そう言って叔父さんは中原くんの頭を撫でる。
中『⁈⁈』
中原くんは撫でられ慣れてないのか行き場のない手がアワアワ動いている。
『叔父さん、撫でるのも良いけれど そろそろ本題に…』
叔『あぁ、ごめん。なんか息子ができたみたいで可愛いなぁと』
そう言って笑い乍ら叔父さんは座布団に坐り直す。そして中原くんを見据えるとはっきりと言い放った。
叔『中原くん、君は最近、変な物を見なかったかい?』
叔父さんが質問すると中原くんな考え込む素振りをする。そして何かに行き着いたのか眼を見開いた。
中『‼み、見ました。昨日の帰り道に、なんか、その、白くて大きい女を』
叔『……やはり、そうだったか』
太『霽雲さん、私それに覚えがあるのですが』
『!太宰くんも分かって居ましたか』
中『は?否、八坂に太宰も霽雲さんも何言って……俺、何かしちまったか⁈』
中原くんは声を大きくして問う。それに太宰くんが落雁をガリガリ食べ乍ら答える。
太『全く…未だ気付か無いのかい?
ーー君は妖に魅入られたのだよ』
その言葉に中原くんの顔が固まる。
中『は?なンだよ、それ』
『ごめんなさい、中原くん。それは事実なんです。信じるのは、難しいかもしれませんけど……貴方には八尺様が取り憑いているんです』
中『は、八尺様?聞いたことねぇぞ…俺が見たのが真逆、八尺様か?』
私は静かに頷いた。それに叔父さんが付け加える。
叔『最近の連続失踪殺人事件をしっているかい?』
それに中原くんはコクコク頷く。どうやら私と違ってテレビは見ている様だ。
叔『その事件は犠牲者が男のみ。失踪した翌日には皆死体となって発見される。…八尺様はね、男に取り憑いて殺すんだ。子供から私と同じくらいの男まで気に入ったら見境なく』
中『…俺も、死ぬんですか』
中原くんが務めて冷静な声を出す。が、その声は微かに震えて掠れていた。私は中原くんの手を優しく包み込む。
『大丈夫ですよ、中原くん。私と叔父さんで守りますから!』
中『本当か?有難うな』
中原くんの顔に少し安心した様な色が纏う。
叔『よし、覚悟は決まった様だね。ではーーー
反撃の狼煙をあげようじゃないか』
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大阪 - 更新ない…(泣) (2019年2月3日 14時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 更新きたー♪ (2018年7月25日 13時) (レス) id: a4c1fe7640 (このIDを非表示/違反報告)
かな - いいですね!それ! (2018年6月7日 21時) (レス) id: a4c1fe7640 (このIDを非表示/違反報告)
山吹桜 - 太宰さんでガシャドクロ、谷崎君でくねくね又はけてけてが見たいです。 (2018年6月3日 21時) (レス) id: 6d19b82d66 (このIDを非表示/違反報告)
文学少女(プロフ) - ありがとうございます!今は忙しくて更新出来ませんが落ち着いたら一気に書きます! (2018年5月18日 20時) (レス) id: 2d20336b29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文学少女 | 作成日時:2018年4月21日 16時