夢で逢えたら (ページ11)

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「あのなぁ、、、。はいはい！そうですよーオレみたいのに連れて帰られちゃうよ？」
「じゃあお願いしますー」
「はぁ？ちょ、おいっ！」
「もうだめ、眠くて動けない」

私の目線に合わせてしゃがんだ中村さんに寄りかかる。

「まじか、、、」

んー、ふわふわ。きもちいー。
なんかいい匂いする。
イケメンは香りまでイケメンなんだな。

「なんでこんな飲んじゃうかな。またなんかあったの？なんだっけか、マキタ？」
「んー、ちがいますぅー。中村さんのせいですー。あとは菅田のせいですー。」
「誰だよ菅田。つーか、なんでオレも？」
「また、とか言うからでしょー。またなんてこないのに」
「なんで？会ってるでしょ今」

グイッと顔を覗き込まれて、バチッと視線がぶつかった。

「、、、そうよ！なんでいるの！あんなに頑張って女磨きしてたときには全っ然会わないのに。残業続きでボロボロのメイクのこんっな色気も何もない店で！なんでいるの？！」
「こらA！悪かったな色気のない店で！」

あ、ごめん熊さんもいた。

「あはは！女磨いてくれてたの？え、ちょっと待って熊さんの身内とかじゃないよね？」

「「ちがうわ！」」

とんでもないこと言い出した中村さんは、シンクロした私達を見てケラケラ楽しそうに笑ってる。

「びっくりしたー、そうだよね。似てないもんね。」
「似てるとか言われたら私、生きてけない。」
「傷つくから。A、俺も傷つくから。」

あ、ごめん熊さん。つい本音が。

だって髭はやした50代のおじさんと似てるのは女子的にどうなの。
アウトでしょ。
いくら私が女子力ゼロでもそれは受け入れがたい。

「Aの家どこ？」
「徒歩5分くらいのとこです」
「ん、じゃ帰ろっか」

ほい、と私の目の前に中村さんの右手が。
これは、握れと？
おずおずとそれに手を重ねると、ぐっと立ち上がらせてくれた。

え、私中村さんと家に帰るの？

「じゃ、熊さんまた来るわー」
「わりぃな倫也、頼んだぞ！送り狼になるなよ！」
「あははー」

熊さんの言葉に中村さんは笑って返すと、手を引いてお店を出た。

ガラガラと引き戸が閉まる音。

店から数メートル手を繋いで歩くと立ち止まり、くるりと振り返ってにっこり笑った。

「もう手遅れだけどね」