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「ほんとにすみません、お手洗いで洗ってきます」
「モモ手元もゆるいなんて赤ちゃんだねえ」
「すみません…」
「もー、いいってば」
テンさんの制止をよそに立ち上がってお手洗いで汚れを落とす。
落ちてはいるけれど、完全には消えてくれない。
でも、朝着せられたコートみたいな溢れ出るブランド感はあまりないな。
多分、私の予想だとこの服は良い物だけどそこまで高くなさそうだから、クリーニングに出してそれでもダメなら最悪弁償しよう。
うっすらと残るシミを見て、念のためどこのお店のものか確認しようとぐぐぐっと首元のタグを無理やり覗き込む。
大文字から始まるそのロゴは、私のお財布と同じようなフォントに見える。
「…まさか」
反対側を同じように見ると予想通り私が何ヶ月もお金を貯めて頑張って買ったお財布と同じブランド。
怖くなって急いで携帯で調べると、同じものの写真の下に14万8000円、の文字まで。
「お、終わった…」
やっぱり高いもの着せられてる…
どうしよう。本当にどうしよう。
血の気が引いて恐る恐るお手洗いを出ると、
カウンターにいたクンさんが声を掛けてくれた。
「どうした？体調良くない？顔真っ青だけど」
「いや…ちょっと」
「どうしたの」
「服…テンさんのなんですけど汚しちゃって…」
「あら」
「弁償するつもりで値段調べたら15万って書いてあって…どうしよう…」
突然クンさんはワハハハ！と大笑いした。
ひー、涙出る！テンのやつざまあみろ！なんて言いながら。
「あいつならちょっと頑張れば30分くらいで稼げるから気にしなくていいよ」
「でも…」
「ほんとに大丈夫。あ、おうち帰ったらその部分だけ手洗いしてみて。擦っちゃダメだよ、優しく」
「わかりました…」
クンさんの優しさが心に染みて泣きそうになりながらテンさんの前に戻ると、テンさんは「おかえり」と笑った。
「だめだった？(笑)」
「はい…本当にすみません」
「いいってば」
「クリーニングに出すので預かっていいですか…？」
「いいって言ってんのにさー、でもまあ気が済むなら持って帰ったら？あーもうお腹いっぱいあとあげる」
3分の1くらい残ったホットケーキを口に入れるけど、味なんて全然しない。さっきまであんなに美味しかったのに。もったいない。
しかも、すごく緊張した。最後まで食べ切るまで、テンさんが私を見つめていたから。
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くま(プロフ) - ハリさんの書かれるテンさん、とっても魅力的で本当に好きです！！素敵なお話読ませていただけて幸せです！ (2022年1月29日 12時) (
レス) @page50 id: 3a63272b29 (このIDを非表示/違反報告)
ハリ(プロフ) - リュイさん» コメントありがとうございます！長らくお待たせして本当にすみません。活動をやめた訳ではなくて、今は試行錯誤を重ねている段階なので、いいお話が出来たらそのとき皆様にお見せしたいと思っています！ので、もうすこしお待ちくださいね！いつもありがとうございます！ (2021年12月28日 3時) (レス) id: 86d42c940d (このIDを非表示/違反報告)
リュイ - ハリ様、もう活動はしないのでしょうか… (2021年12月24日 16時) (レス) @page50 id: 2183f1b6e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 初コメお邪魔します(^^)このお話大好きでした！テンくんが大好きなのですが…読むと一時的に私にクン哥期がやって来たりも(*^^*)お話の中で最終的にテンくんと直感的に通じ合える存在になれて、とても幸せでした(*^o^*)またいつか新作が読める日を待っています！ (2021年8月15日 15時) (レス) id: 14837b160d (このIDを非表示/違反報告)
Kiki(プロフ) - 完結おめでとうございます好きです〜(;_;)(;_;)(;_;)また楽しみがひとつ減ってしまう、、かなしい、、、 (2021年8月14日 9時) (レス) id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハリ
| 作成日時：2021年1月18日 22時
