【A3!】舞台から落ちたら演劇の世界にいました２【男主】

雄三、再び ページ32

ついでに見に来てやったとそれはもう上からなお言葉を口にし、人数の変化がない現状を褒める雄三さん。

急すぎと文句を言う真澄には俺も賛同せざるを得ない。
いやもうほんとにそれだよ帰れ！早急に帰れ！
おっさんの顔なんて頻繁に見ても体調悪くするだけだ！

全力で帰るように威嚇していると、雄三さんは俺と目があった途端どんどんと近づいてくる。何、なんでこっち来る！？

｢っ！いって！｣

次の瞬間、まだ治りかけだった後頭部のたんこぶめがけその拳が振り落とされた。

その鈍い音と突然の行動に咲也達が驚いて声も出ない中、俺はやっぱりその場にしゃがみ込む。

｢てめぇ俺からの電話着拒しやがって｣

俯いていて顔は見えないけど、声的にかなりお怒り気味の雄三さん。違う。それは本当に違う俺のせいじゃない。

｢逆にどこの世界に深夜に電話鳴らしまくる傍迷惑な大人がいるってんですか……｣

あまりに返信遅くて(多分文字打つのが遅くて)仕方なく放置してたら、夜中いきなり電話かかって来て。

切っても切ってもかけてくるからもう着拒にしたよね。夜中携帯画面に｢クソオヤジ｣って表示されるこっちの身にもなれよ。いや名前それにしたのは俺なんだけどさ。

｢大体あんな機械使いこなすてめぇらがおかしいんだ｣

｢はい出ました！出ました俺様がルール思考！｣

｢ちょ、ちょっと二人ともストップ！｣

あーだのこーだの言い合う俺たちの間に、監督さんが割って入ってくる。
雄三さんと二人して口を閉じれば、そこにはぽかんとした顔で俺たち二人を見る皆が。

｢え、二人って仲良かったんすか？｣

｢は？｣

これのどこが仲良いって？本当の仲良しは会ってすぐに殴ったりしてこないだろが。

｢Aこの間胸ぐら掴まれてたじゃん。それでこの親密度とか謎すぎ｣

｢あれはワタシおどろいたネー｣

｢俺も心臓が飛び出るかと思いました……｣

聞かれて、そう言えば皆が最後に見たのはそこまでだったなと思い出す。

確かに、あんな事があったのにいつの間にかここまで言い合える仲になってるとか普通にビビるよなこれ。

｢あぁ、いやこれはだな……｣

下手に会いに行ったからなんて言えないし、かと言って俺に稽古付けてくれる事になった先生だからとも言えない、というか絶対言いたくない。

一人悩んでいると、後ろからおっさんの声が。

｢こいつは俺の弟子みたいなもんだからな｣

｢……は？｣

やっぱ早いとこ、このクソオヤジを海に沈めた方がいいかもしれない。

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