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ある日の放課後。珍しく三日月さんに会った。彼は勝手に横をついて歩き、一緒に帰ることとなったのだが。
「祭りへ行かんか」
「行きません」
「双刃祭り」
「行けません、先約があります」
「なに………!?」
「デートじゃないです」
「お、お主の浴衣姿を見れぬとは………!」
「そこか」
「ショックすぎて何も言えぬわ………」
この人ちょっとズレてるよね。
浴衣姿の私を見たいなんてのもズレてるけど、そこが見れないってところにショックを受ける所がズレてるよね。他の男とデートなのか………!って言うかと思ったんだが。
小狐さんに「双刃様をやってくれないか」と頼まれて少しだけ迷ったけれど、獅子王くんにも必死に頼まれてしまった。
仕方なしに承諾し、やる事になった。
その辺りを三日月さんに説明すると
「ふむ………だが、その前か後にデートはできるだろ?」
「あー………後はちょっと。前なら」
「なっ、せ、先約か?男か?」
「教えません」
「ケチ」
「頬膨らませて可愛こぶっても教えません」
「む………」
「でも、儀式の前なら良いですから。デート、しましょう?」
「ん、お主からそう、言われると」
珍しかった。
確かに私からこうして誘った事など1度もない。それだけでなく、三日月さんの頬が赤くなっている。いつも余裕のある彼がこんな表情を見せるとは。
心拍数があがった気がする。
一瞬彼が可愛いと思ってしまった私は何なんだ。
「よしっ、約束だからな!絶対だぞ!」
「子供ですかあなたは」
「嬉しいのだ、いいか、約束だぞ!手を繋ぐからな」
「はあ」
「ハグもするからな、口吸」
「ハグは禁止、キスなんて以ての外です」
「何故だ」
「当たり前です」
「デートだろう?それぐらい」
「恋人じゃないのでやりませんからね」
「読まれた、超能力?」
「違います」
残念そうに彼は俯く。いや、当たり前だろ。付き合ってないんだぞ。付き合ったらそういうものはするものだ。
彼と付き合うなど想像ができないが。
三日月さんは何を思い立ったのか急に顔を上げた。そして、小指を出してくる。なにする気?
「忘れぬように指切りだ」
「えー………」
「ほら、小指を出せA」
「分かりました」
言われた通り、小指を出す。指と指が絡まって、繋がる。「ゆーびーきりげーんまん」と彼は嬉しそうに歌う。
私はそんな三日月さんを見て少しだけ頬が緩んだ。
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名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです!更新頑張ります、コメントありがとうございました* (2018年6月8日 17時) (レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー!いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです!これからも頑張ってください〜! (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名もない茶葉 | 作成日時:2018年5月22日 1時