3 ページ27
思ったのだが、この間は珍しく私も素直になっていなかったか?だって、三日月さんを祭りデート……に自ら誘うような言い方をしたのだ。
心境の変化が本当に最近は激しいと思う。
三日月さんねぇ………
「Aちゃん?」
「んあ、はい」
「またぼうっとしてる。どうかした?」
「ううん、あんまり気にしないで」
「そうか?………お、あった」
そういうと、獅子王くんは真っ黒く塗られた平たい箱を取り出した。赤い紐で結ばれたそれを解く。
今、私は祭りの打ち合わせのようなものをしていた。そこで小狐さんが「双刃様の衣装を取ってきて合わせてみてください」というものだから、急遽衣装部屋へ行き取ってくることとなった。
見つけたらしく、黒い箱の中からは桃色の着物、紫色に少し花柄が散られた袴。それから金に輝く
「え、私これ着るの」
「ああ。まあ、一人じゃないから。俺も似たようなの着て出るし」
「そうなの?」
「双刃、だからな。一人じゃおかしいだろ?」
「確かに」
私はくすりと笑った。
本番の時、彼が居てくれるのか。なら安心だろう。
「ねぇ、獅子王くん。双刃って事は刀を持つ?」
「ん、持つよ。太刀って呼ばれる大きい刀だ」
「へぇ」
「本番の時は鞘から抜いて使うんだ。練習の時は木刀を使う。危ないからな」
「し、素人が持っても………」
「大丈夫、振るう訳じゃないから素人も玄人も関係ない」
「なら良かったです………?」
私がそう言うと、彼は目の前に先程の着物を見せてくる。「着てみてよ」と歯を出して彼は笑った。
私が「着付け出来ないから」と言ったら、彼はまず、「体操着になって出来たら俺呼んで」と言うので指示に従った。
着付けしてくれるらしい。獅子王くん殆ど放課後は袴着てるって言ってたよな。
慣れてるんだろうな。
「あの、出来ました」
「お、じゃあ着付けするな」
「お願いします」
浴衣をはおり、結ぶ。後ろに獅子王くんが立って、結んでくれるのは良いのだが、少し緊張した。距離が近くなるのは仕方がない。背後から熱を感じる。
不可抗力だ、仕方の無い話。恥ずかしいけど耐えるか。
袴を履いて、その他諸々を終える。
「はい、出来上がり」
「ありがとうございます」
「お、サイズ丁度いいな。似合ってる」
「ど、どうも」
似合ってる、そう言った彼の声が上擦っているように聞こえたのは気のせいだろうか。
.
91人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名もない茶葉(プロフ) - みなつきさん» 好みと言って頂き嬉しい限りです!更新頑張ります、コメントありがとうございました* (2018年6月8日 17時) (レス) id: f4334200be (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 初コメ失礼しますー!いつも楽しみに拝見させていただいてます♪とても私好みの作品で更新がいつも楽しみです!これからも頑張ってください〜! (2018年6月7日 21時) (レス) id: 3e3a2fbf1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名もない茶葉 | 作成日時:2018年5月22日 1時