３９話 ページ39
琴音から話を聞いてから数日後。琴音のLINEに憐歌から連絡が入った。今日の夜には戻れる、との事だった。
『良かった、修羅場は抜けたみたい』
ふんわりと笑う琴音に、ミケが良かったなと相槌を打ったのは、今朝の話だ。
「……戻ってこねぇ」
夜になりいつもなら琴音も帰宅するくらいの時間にも関わらず、憐歌は帰ってこなかった。チッと舌打ちしたリヴァイに、ミケが声をかける。
「探しに行くか？」
「…いや、琴音が帰ってきた時に誰もいねぇのは不味い。お前は残ってろ。俺が探してくる。一時間探して見つからなきゃ、一度戻る」
「分かった。…リヴァイ」
「なんだ」
「忘れるなよ、憐歌はまだ、俺たちに心を許していないということを」
「……あぁ、分かっている」
ひらりと手を振り、リヴァイは外に出た。今まで一人で外に出た事は無かったが、一応迷わない程度の地理は把握している。だが憐歌がいそうな場所などは分かるわけもなく、とりあえず歩いている状態だった。
すれ違いになることも考えて近所をウロウロしていた時、その姿は目に入った。古い喫茶店のようだ。薄暗い店内の窓際で煙草を吸っている姿を見つけられたのは、奇跡に近いだろう。カランと軽いベルを鳴らしながら店内に入る。カウンターの中にいた壮年の男性が、視線を向けてきた。それを無視して憐歌の座るテーブル席の向かいにどっかりと腰を下ろす。そこまでしてようやく、彼女はリヴァイの存在に気づいたようだ。
「…………何やってんだ」
「それはこちらのセリフだ。夜には戻るんじゃなかったのか」
「具体的に何時と言った覚えは無いよ」
短くなった煙草を灰皿に押し付けるのを見ていたら、先程の男性が新しいお冷とお絞りをテーブルに置いた。
「新しい担当さんですか？」
「単なる知り合い。担当は変わってねぇよ。今日来たがってたけど、仕事が詰まってるからって今日は来なかったんだ。今度来たら、労ってやってくれよ」
「そうですか。…ご注文は」
「紅茶、ストレート」
「茶葉いかがしますか？」
「…華やかな香りのものを、おまかせで頼む」
こちらで茶葉まで同じかどうかは、まだ確認が出来ていない。銘柄を読むことが出来ないのだ。ただ憐歌が煙草を吸っている以上、香りが強くなければ味が消える。それだけ指定したら、心得たように男性は下がっていった。
(沈黙。こいつも私も何も話さないまま、ただ時間だけが流れる)
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カイリ(プロフ) - 結衣さん» 私からも、お知らせありがとうございました。ご冥福をお祈りします (2017年8月30日 21時) (
レス) id: e91033920e (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 結衣さん» お知らせありがとうございます。お名前を外させていただきました。リル様のご冥福をお祈りします。 (2017年8月30日 9時) (レス) id: 0aa059a6b7 (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - リルは私の友達なのだけれど、この作品が出来た頃に交通事故で遠い空に旅立ったのだからこの小説のことはどうにもできません (2017年8月25日 0時) (レス) id: 12a171e478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カイリ＆灯霧
x他2人 | 作成日時：2017年5月13日 22時
