２３話 ページ23
外に出ていく三人の物音を聞きながら、憐歌は煙草を取り出し火をつけた。空になったパッケージを手で握りつぶす。
「あー…やっべ」
ぽつりとつぶやくと、部屋の壁に声が跳ね返った。リヴァイという男、どうやらかなりの潔癖症らしい。四角い部屋を丸く掃くタイプの憐歌とは、相容れないだろう。ミケという男はかなり素直にいう事を聞いてくれるが、時折何かもの言いたげな視線を向けられる。何も言われずじっと見つめられるという行為は、憐歌にとって嫌な思い出でしかない。つまり、彼らとの共同生活に気が重いとしか思えないのだ。カタカタキーボードをたたいてその気分を払拭して、しばらく。スマホの振動にそれを手に取る。
「はい」
『あ、相沢さん。高橋です』
「ども。仕事ありました？」
『ええ、もともと相沢さんにお願いしようと思っていた案件があるんです。ただ…かなり急を要する案件で』
無駄な事を一切言わず必要な事だけ伝えてくる高橋は、憐歌のパートナーとも言える男だ。その彼が言葉を濁す様子に、眉を寄せた。つまりかなり面倒な案件なのだろう。
「内容は？」
『〇〇制作の仕事です。以前にも引き受けたアプリの新しいシナリオを三本。報酬は一本一万円になります』
「急を要するってぇのは」
『…提出期限が、来週の水曜日なんです』
「はっ！？あと五日しかないじゃないすか！」
『先方の都合なんですよ。なんでも既存のライターと、連絡が取れなくなったらしくて』
「…はぁ。それで急遽依頼されたと。まぁ今抱えてる仕事はほとんど六月提出のモンだから、できなくはないですけど」
『どうしましょうか』
「…わかりました。やります。詳細はいつも通りメールで」
『かしこまりました。他にもお願いしたいものがありましたら、連絡しますね』
「すんませんね、こっちもちょっと、急に物入りになっちまったんで」
『いえいえ、相沢さんなら引く手あまたですから、依頼自体はすぐ見つかると思いますよ。…では私はこれで』
「お疲れさんです」
プツッと終話ボタンを押して、灰皿に灰を落とす。まさかの短期集中型案件だが、自分で言った通りできなくはない。ただ、家事をやる暇はないだろう。ラインで琴音に家事する暇がなくなった、適当に総菜か何かで食いつないでくれと連絡をする。ついでに、自分が部屋から出てくるまでは声をかけるなという注意喚起も。仕事の邪魔をされてブチ切れるのは、同居者の心臓によろしくない。
(徹夜だな…)
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カイリ(プロフ) - 結衣さん» 私からも、お知らせありがとうございました。ご冥福をお祈りします (2017年8月30日 21時) (
レス) id: e91033920e (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 結衣さん» お知らせありがとうございます。お名前を外させていただきました。リル様のご冥福をお祈りします。 (2017年8月30日 9時) (レス) id: 0aa059a6b7 (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - リルは私の友達なのだけれど、この作品が出来た頃に交通事故で遠い空に旅立ったのだからこの小説のことはどうにもできません (2017年8月25日 0時) (レス) id: 12a171e478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カイリ＆灯霧
x他2人 | 作成日時：2017年5月13日 22時
