１１話 ページ11
憐歌は宣言通り、昼前に戻ってきた。帰宅早々、ただいまも言わずソファで憂鬱な顔をしている二人に、ビニール袋を投げつける。
「なんだ、これは」
「見ればわかるだろ。アンタらの下着、寝間着、歯ブラシ、カミソリ、シェービングジェル…」
「待て。歯ブラシとカミソリはいいが…ねまき？シェービングジェル？」
「……寝間着はあれだ、あー…ベッドウェア？サイズはフリーとLLだから、寝る時はそれを着て。流石に昼間も着ている服で寝たくはないだろ。シェービングジェルは髭剃り用の石鹸。後で動画を見せるから、それを参考にしてくれ。あいにく私は、それの使い方なんぞ知らないからね」
他にも紙皿や割り箸、プラスチックのフォークなどを買ってきた彼女は、すぐにキッチンに入っていった。そのまま調理を始めたのだろう、物音が聞こえる中、袋からそれを取り出して二人は目を見合わせる。
「……これはどうやって開けるんだ？」
「字が読めねぇ…」
昼食のパスタを持った憐歌が見たのは、真面目な顔で歯ブラシ(未開封)とにらめっこをする男という、なんとも笑えない光景だった。
『暇ならテレビでも見てれば』
テレビの使い方を聞いて、画面の中に人がいる！と驚く彼らに頭を抱えた憐歌は、彼らに使い方を説明したところで力尽きた。部屋に籠ると宣言し、その通り自室に引きこもる。
「……他人と生活？無理がある……」
ベッドに横たわり、タバコに火をつけた。他人と接するのが苦手な彼女にとって、現状は地獄以外の何物でもない。琴音が帰宅するまで、もう部屋を出ないつもりでいた。だが仕事をする気力も起きない。
「……もういいや。寝直そう…疲れた…」
紫煙をくゆらせながら、呟く。一階から聞こえてくるのがテレビの音だけなので、あの二人は一応言いつけを守っているのだろう。あとは、琴音に任せればいい。自分は最低限の事だけすれば。そんなに短くもなっていないタバコを灰皿に放り込み、憐歌はタオルケットを頭から被った。
(何も考えたくない)
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カイリ(プロフ) - 結衣さん» 私からも、お知らせありがとうございました。ご冥福をお祈りします (2017年8月30日 21時) (
レス) id: e91033920e (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 結衣さん» お知らせありがとうございます。お名前を外させていただきました。リル様のご冥福をお祈りします。 (2017年8月30日 9時) (レス) id: 0aa059a6b7 (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - リルは私の友達なのだけれど、この作品が出来た頃に交通事故で遠い空に旅立ったのだからこの小説のことはどうにもできません (2017年8月25日 0時) (レス) id: 12a171e478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カイリ＆灯霧
x他2人 | 作成日時：2017年5月13日 22時
