この世界の道理 (ページ15)

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＿＿. ページ15

｢それは…。｣

『ねえ、村上。

アンタ、何者なの？』

コイツの表情は怯えきっていて、

先程までの微笑みは何処へ行ったのか。

今は俺に対して不安げな目線を送るばかりだ。

｢…分かったやろ。

お前がさっき言いかけた事は何となく分かる。

けど、俺の近くおったらこういう危険な目に遭う。｣

『っでも、

でも、やっぱり私、村上が…。』

｢やめろて。

俺も同じやから。

俺もお前の事ずっと好きやったから。

自分のせいで好きな女をこれ以上傷付けたくないんや。

やから、分かってくれ。｣

涙を流し、俯いてしまったお前に背を向けて歩き出した。

『村上っ、大好き。

大好き、だったよ！』

俺も。

この一言は俺の胸の中に閉まっておいた。

もう二度と会えない、会わないお前に無駄な期待はさせたくないから。

お前からその一言が聞けただけで満足や。

俺は振り向く事無く、前へと歩き続ける。