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覚悟ならしてたはずなんだ。
分かりきってたことでしょ、すばるが華さんを忘れられないことなんて。
それなのに、わたしは華さんのことを思うすばるのことを憎らしく思ってしまう。
わたしを大事にしてよ、
わたしだけを思ってよ、
もう、華さんのことなんて、
って、どうしてもすばるを責めてしまう。
前までは、こんな感情なかった。
すばるが華さんのこと話してもこんなに憎く思わなかった。
それなのに、今じゃすばるに対する気持ちが大きくなりすぎて
今だけは何もかも辛いの、
今だけは、すばるの全てがわたしを苦しめて
その優しい気遣いも
その左手の薬指を触る仕草も
Aって呼ぶ声も
全部全部が嫌に思えて
「ちょっと、散歩してくる、」
って、すばるの返事が聞こえる前に、家を飛び出した。
家を出てすぐに携帯に連絡が入った。
“もう、夜遅いんやから、はよ帰ってきいよ”
すばるからだった。
わたしはそれに既読をつけて
携帯の電源を落とした。
今は、そんな優しさは嬉しくないの、
悲しいの。
涙がこみ上げてきて、でも涙なんか流さないって
変に意地を張って空を見上げた。
そして、涙をこらえながら呟いた。
「今日は、星が綺麗ですね、華さん。」
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作者名:ふぅりん | 作成日時:2018年9月29日 19時