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『ただいま、』
「おかえり、」
『今日、どうやった？』
すばるは家に帰ってきた途端、
まっさきにそう聞いてきた。
「すごかったよ、かっこよかった、感動した」
心からそう思った、
本当に感動したから、嘘偽りない言葉でちゃんと目を見て答えた。
『ほんま？嬉しいわ』
すばるは本当に嬉しそうに笑った。
でも、その笑顔にわたしは笑顔で返せなくて
「最後の、曲、」
『ん？』
「最後の曲は、誰を思ったの？」
ずっと、気になってた、
心の中にずったあったその疑問をすばるにぶつけた。
すばるは、なんて答えてくれる？
『......お前やで、』
「...そう、」
嘘でしょう、
今、一瞬の間があったのと
さりげなく左手の薬指を触ったのをわたしは見逃さなかった。
その時点で、確信した。
華さんのことを思ってたんだねって。
悲しくなった、泣きたかった、
結局わたしは華さんのことを超えられない。
結局すばるには華さんしかいないんだね。
怒りたかった、
わたしを大事にしてくれるんじゃないのって。
でも、きっとすばるなりの優しさで
わたしを思って歌ったと、そう言ってくれたんだから、
その優しさに怒ることが出来なくて、
わたしは
「嬉しい、ありがとう」
そうやって、微笑むことしか出来なかった。
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作者名：ふぅりん | 作成日時：2018年9月29日 19時
