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車での出来事を思い出し、少し憂鬱な気持ちで秀明に到着した。
中に入ると玄関付近には沢山の生徒で溢れていた。
今日は先日行われた全国模試の順位が張り出されていたのだった。
私はあまり順位を気にしていないので
多くの人だかりをすり抜け階段に足をかけた時、
「おっ!佐伯!!」
突然名前を呼ばれビクッと後ろを振り返ると
若武くんが仁王立ちで堂々とたっていた。
彼はどうもこの塾内では有名人らしく
周りの生徒から注目の的になっていた。
「この前は急に誘って悪かったな!今日はお前を正式に探偵チームのメンバーのオファーをしに来た!!」
そのあまりの自信に満ちた笑顔にすぐ「はい」と答えを出しそうになる。きっとこれが彼の魅力なのだろう。
けれどあまりの周りからの注目に私はずっと下を向いていた。
(目線が痛い、、、)
普段からヒソヒソと生きているので人から注目されたり大勢の目を向けられるのを避けてきたのでものすごく居心地が悪い。
まるで多くの矢を向けられたみたいな感覚だった。
私はその視線に耐えきれず
「あっ、あの!!こっちきて!!!」
私は彼の腕の裾を引っ張り物凄い勢いで人混みをかき分け特別クラスへと向かった。
自分から男の人に触れに行くのは緊張もしたし怖かったけれど無我夢中だった。
(どうしてあんな逃げ方をしたのにまた誘いに来たんだろ、)
あんな態度をとったからもう嫌われてしまったかと思っていた。
それでも仕方の無いことを自分がした自覚があったのでそうなってもいい様に心を決めていたのに。
男の人はやっぱりわからない。
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作者名:おはる | 作成日時:2023年5月24日 22時