イレギュラー (ページ20)

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三章きっかけ⑥ ページ20

「で？なんで君はここにいるのかな？」

紫音は冷たい目で見ながら未果に問うた。

「え、えっと……私泰斗先輩に話しかけたくて、ずっと後をつけてたんですけど……話しかけるタイミングが見つからなくて……」

「それさ……学校でやってくれないかな？わざわざ放課後にやることじゃないと思うけど……」

「ご、ごめんなさい……もうしませんので……」

「……反省してるならいいんだけど。あと私たちがここで化け物と戦ったことは誰にも話さないこと。いいね？」

「は、はい！わかりました！誰にも話しません!!話しませんから！」

未果は紫音の怖い顔を見て、少し怯えた表情でそう了承した。

「紫音ちゃん……さすがにそれはやりすぎなんじゃない？」

「先輩何言ってるんですか！私たちのことや奴らのことを一般人に知られたら、大変なことになるんですよ!?」

「ま、まあ……そうだけど……」

「まったく……それで？佐々木さんだっけ？そろそろ帰った方がいいよ。またあいつらが来るかもしれないからね」

「あ……はい！今日はすみませんでした……!!」

未果はそう言うと、その場から立ち去った。

「……先輩あとでちょっと聞いてもいいですか？」

「う、うん……任務終わってから……ね」

ー佐々木家未果の自室
「……今日とんでもないもの見ちゃったな～でも私たちが知らない間にあの化け物と戦っている人たちがいるなんて……先輩も努力してたんだな～なんか憧れるな～」

ー月詠家 Aの自室
「……よし。終わった。このゲーム面白かったな～意外とストーリー性があったし」

僕は最近発売された人気RPGをプレイしていた。昨日から夜中にやっていて、今日ようやくクリアすることができた。と言ってもラスボスを倒しただけだけど。

「まだサブクエストとかやってないからな～今日はこのくらいにして、風呂に入って早く寝よ」

僕はゲーム画面を切り、風呂に入る準備をし始めた。
すると、スマホからメールの着信音が鳴った。

「うん？誰からだ？……那珂川くんからだ。なになに……？」

メールにはこう書かれてあった。

『月詠へ明日俺とまがれ退治を行う。準備をしておくように』

「……簡易的だな。了解っと」

僕はそう返信すると、ベットに寝転んだ。

「……本格的に始まるんだな……生きるか死ぬかわからない戦いが……これはゲームなんかとは違う。紫音先輩が言った通り覚悟を決めないとな……」

次回に続く