恋の罪は、苦かった【in×ym(←yb)】

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半年もすると、世界が変わった。


「僕、薮宏太は結婚が決まりました」



いつかの、会社創立50周年記念パーティーとやらで薮が言った。

まさか、山田と…。


いやでも、日本ではそんな法律まだ無いから無理なはず。
じゃあ、一体誰と？このこと、山田は？

たまたま視界に山田が映った。


震える両手を後ろに隠し、寂しげな笑顔を浮かべていた。
そして、周りの人に促されるように拍手をしていた。


「おめでとうございます」

誰にも聞こえないように発したのであろう山田の言葉は、俺に届いた。


神様は、俺に微笑んでいるんじゃないか。
もしかしたら、またチャンスを与えてくれてるのか。

…素直に思ってしまった。


.


パーティーが終わり、薮と二人で話した。


「結婚、するんだね」

「父さんが勝手に決めた」

「山田は？どうなるわけ？」

「別れないよ。…不倫相手ってことになるのかな」


腹が立った。
イライラした。


「涼介とは一回別れた。でも、また告白してくれた。だから、付き合うことにした」

それにもまた、イライラした。
どうして。

薮のどこがいいの？
そろそろ俺を視界に入れてくれねぇかな。


「まぁ、まだ体を重ねては無かったし。『浮気じゃなくて不倫なら、宏太も満足でしょ？』って」

意味分かんねぇ。
浮気と不倫の違いって何だよ。

携帯を取り出し、検索した。



【浮気】
既婚かどうか関係なく、男女が他人に好意を寄せること。
【不倫】
既婚者が、パートナー以外の他人と肉体関係を持つこと。


「…なるほどね」


神様は、また、俺を裏切った。

でも、俺はこの二人がこの先どうなるか見える。


山田だけがボロボロになって、壊れる。

不倫は幸せになれない。

幸せだと感じても、それは一瞬にすぎない。


俺の経験上、そうだった。


だからこそ、俺が山田を幸せにしたいと思えた。




薮、ごめんね。

なんとしてでも、山田は俺が幸せにするよ。

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