恋の罪は、苦かった【in×ym(←yb)】

#18 ページ18

「どこ行くんですかー…。こわいです」

後ろを向かせて歩き、近くの丘を登る。


「もうすぐだから、頑張って」

丘の先にある公園の展望台に来た。



「よし、じゃあ、目瞑って前向いて」

言われた通りに従ってる。可愛い。


「…もう、いいですか？」

「うん、いいよ、開けて」


目を開けると同時に、感嘆の声が聞こえた。



「すっごい綺麗…しかも満月…？」

「すごいでしょ。街の夜景と星空が見渡せる場所です」


よしよしよし、いい雰囲気だ。
…あれ、これって、いけるんじゃね？？

告っちゃうチャンスじゃね？？

うん、言っちゃおう。




「山田、俺さ「好きです」…」


ん？


「伊野尾さんのこと、好きです。…良かった、言えた。さ、思いっきりフってください！！」


いやいやいや、えぇ？

ちょっと待て。山田の好きな人って…俺？


えぇぇぇぇ！！！


え、ちょっと待ってよ。軽くパニックだし、山田泣きそうだし。


とりあえず、ごめん、無理。


心の中で謝りながら、抱きしめた。



「…え、い、伊野尾さん？」

「俺も好き。ずっと、ずーっと前から。ずっと、こうしたかった」


俺も想いを伝えると、山田は抱きしめ返してくれた。
細い腕で、しっかりと。




「俺の、彼女になってくれる？」

「もちろんです」


可愛いなぁ、もう、何しても可愛いよ。
…あれ、俺このままじゃヤバい奴になりかねん。。

頑張れ、俺。


「もう、敬語はやめてね」

「…うん！！あ…、慧って呼んでもいい…？」

「当たり前だよ」


もうほんと可愛い。キュンキュンする。
いちいち聞いてくるのが堪らない。



「今日、泊まってかない？あ、変なことはしないから！明日の朝ご飯作ってよ、涼介」

「喜んでっ！あと…変なこと、してもいいよ？」



今夜は眠れないみたいだ。



恋の罪は、苦かった。

でもそれは過去形。



今なら真逆のことを言えるよ。


恋の罪は、甘い。甘すぎる。





〜fin〜

ありがとうございました。→←#17

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