こっちを向いて！カルエゴくん！

先生と家庭訪問 ページ9

私はとある噂を聞きつけた。

先日、カルエゴくんが問題児クラスの家庭訪問を理事長からの命令により行ったことを。それにより、私は職員室でカルエゴくんに話しかけていた。


「カルエゴくん、私の家にも家庭訪問してよ」


「先生だろ。それに、家庭訪問は担任に言え」


「担任にはしてもらいましたよ…と言っても、うちの家族は忙しいので二者面談でしたけど」


「なら、私の出る幕はない。第一、私が貴様の家庭訪問をしてどうする」


「カルエゴ先生の私に対する評価が分かります！」


そう言うと、カルエゴくんは私の頭をペシっと叩いて分かってどうすると言った。


「いいところは継続させ、悪いところは直します！」


「ほう、悪いところは直すのだな」


なんか嫌な言い方だけど、私は頷く。


カルエゴくんは家庭訪問でなくても評価くらいなら言える、と言ってノートを取り出した。前に理事長が言っていた、生徒に対する事が細かく書かれたノートだ。まさか私専用があったとは思わなかったけど。

カルエゴくんは咳払いをして、話し始める。


「Aさんは、大変優秀な生徒です」


「は、はい！」


「積極的に勉学に勤しみ、前回のテストでは学年一位と優秀な成績を収めています。しかし、職員室に用事もなく入り浸り、教師の事を馴れ馴れしく呼ぶ態度に関しましては…」


「待って待って！ほぼ、悪いところしか言ってないです！」


カルエゴくんは鼻で笑っていて、悪いところは直すのだろう？と言った。まさか、ここまで陰湿な男だとは思わなかった。


「やっぱり、カルエゴ先生の家庭訪問はいらないです」


「そうか、それは残念だな」


「楽しんでるよね？」


「私は正当な評価を下しているだけだが？」


今回の件で、本当にカルエゴくんの性格が悪い事が分かった。


「強いて良いところを言うのならば、その明るく前向きな性格だな」


「え、私褒められてる？」


「粛に、強いて言えばだからな。二度は言わん」


でも、本当は優しいカルエゴくんだ。

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