先生と寂しさ ページ26
私は職員室に向かう勇気もなく、一人で空を見上げながら昼食を一人で食べていた。
家族が家にいないなんてことはいつもの事だったし、一人だって平気だった。
なのに、カルエゴ先生との時間は楽しかった初めて他人の心に触れた気がした。
深いため息を一つついて、私はカルエゴ先生がいつも座っていた所を見ていた。
「もう、戻ってこないんだろうな」
残念、なんて少し思ってしまう。
授業を受けて、一人で放課後の廊下を歩いている。なんとなく俯いていると誰かにぶつかった。
「すみません」
顔を上げると、そこにいたのはカルエゴ先生だった。
「気をつけろ」
「…ごめんなさい」
私の様子に疑問を感じたのか、カルエゴ先生は何かあったのかと訊いてくる。まさか、貴方と会えなくなって寂しいですとは言える訳ない。
「何でもないです」
「はっきりしろ」
「…一人でいるのが寂しくなったので」
私は諦めて本当のことを言うとカルエゴ先生は、ほぅも面白そうに笑った。本当に性格悪いな。
「面白いことを言うようになったな」
「やっぱり言わなければよかったです」
「遅かったな。それで、私に何を求めているんだ?」
「性格悪いですね、バラム先生に言い付けます」
「シチロウとは仲がいいのか」
私は頷いて早速バラム先生の元へ向かおうと考えていると、カルエゴ先生はわざとらしく咳をした。
振り返ると、カルエゴ先生は言った。
「寂しいならいつでも職員室に来ればいい…本来なら生徒同士で絡むべきだが、貴様にはそれが難しいのだろうからな」
「え!いいんですか?」
「ただし、生徒同士の交流を大切にした上でだ」
カルエゴ先生は呆れながらそう言っていだけれど、結局私に救いの手を差し伸べてくれた。私は嬉しくてありがとうございます、と言うとカルエゴ先生は全くだと呟く。
「でも、元はと言えばカルエゴ先生が私に絡んできたからであって…っていたい!」
「私に感謝すべきではないか?」
「可笑しいです!カルエゴ先生が謝って!」
「知るか」
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あまね(プロフ) - めちゃ好き、、、、完結だ、、 (5月6日 23時) (レス) @page35 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 朱莉さん» ドキドキしていただけたなら嬉しいです!完結までありがとうございました! (2022年9月22日 19時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
朱莉(プロフ) - 完結お疲れ様でした!!陰ながら読ませて頂いていて、毎回更新される度にドキドキしてました!!!いい作品を書いて下さりありがとうございます!!! (2022年9月22日 6時) (レス) @page35 id: 4569dbbd6e (このIDを非表示/違反報告)
花道時代(プロフ) - 霰さん» ありがとうございます!やる気が出てきます!更新頑張ります!! (2022年8月23日 16時) (レス) id: 0bbda94348 (このIDを非表示/違反報告)
霰 - 頬が緩んじゃいました!更新まってます!がんばってください (2022年8月23日 15時) (レス) @page14 id: 5d8ece0cb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花道時代 | 作成日時:2022年8月15日 15時