その瞳に秘めるものは Ⅲ 【ドラコ・マルフォイ】 (ページ18)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:41,589 hit

□ 今この時間だけはページ18

彼女があの階段から降りてきた時、一瞬時が止まったかと思った

グリフィンドールを彷彿とさせる深紅のドレスを纏った姿が今まで見た女性の中で最も美しく優雅だった

夢｢あ！代表者来たよ！」

楽しそうに入口を見ている彼女に合わせて自分も目を向ける

クラムの横にいるのがあの(・・)グレンジャーなのは気に食わないがリアの嬉しそうな顔を見たらどうでも良くなった

夢｢ﾌﾌｯ、ハリー慌ててる、もっとリラックスしたらいいのに｣

『パーティーは初めてなんだ、仕方ないさ』

夢｢あら？私もパーティーは初めてだけど？」

『それじゃあポッターにワルツは早かったんだろ』

代表者が踊り次にダンブルドアとマクゴナガルが壇上する

それから各々のタイミングで踊り始める

『リア』

夢｢？｣

『僕と踊っていただけますか？』

夢｢えぇ、喜んで｣

茶番の様に腰を屈めて手を出せば彼女も笑って僕の手を取る

初めてと言っていたが全くそんな風には感じない

無駄のない動きで少しずつ中心へと進んでいく

夢｢ドラコどこかの王子様みたい｣

『ｯいきなり何を言い出すんだ』

夢｢あ、照れた？｣

『照れてない。…僕が王子なら君はお姫様か？』

夢｢…それいいね｣

必死な照れ隠しでらしくない事を口に出してしまった

からかわれると予想したがどうやら予想は大きく外れたようで

『顔、真っ赤だぞ』

夢｢ｯちょっと身体が温まったの｣

耳まで赤くした彼女が目の前にいてその瞳は左右に泳いでいる

普段飄々としている彼女の照れた顔に釣られて自分の顔に熱が溜まっていくのを感じた

・

夢｢なんか今日のドラコ変｣

『僕はいつも通りだが？』

夢「いや、違う」

数曲踊り終えてドリンクを渡すと唐突に告げられた

夢「なんか……優しい？じゃなくて、甘い…？」

『気のせいだろ』

夢｢ん〜なんかそう感じたの｣

真っ直ぐと見つめて"絶対いつもと違う!"と騒ぐ姿はいつも通りだと1人安心する

彼女の人気はずっと知っていたし今日も彼女を見ている奴が大勢いた事も理解している

そんな彼女が僕を選んでくれたという事実がこの上なく嬉しい

『君はいつも変わらないな』

優しくするのは君だけだ

とは口が裂けても言えないがリアの思考を僕が占領していると思うと自然と口角が上がった

夢｢それ褒めてる？｣

『あぁ、もちろん』

今この時間だけは君を独占したい