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「で、あんた……大丈夫なんすか? いや、見た感じ物凄く元気そうなのはわかるけど」
血で汚れたドロドロの衣類を着て平然とした顔で、手の中のタブレットを触っている男に声を掛ける。
男は夜凪の顔を見ると、何度か頷いてみせる。右手で軽く首元を隠す襟を捲ってみせる。装甲と変色した首が覗く。
「ヒーローなんっすねぇ」
男は右手の親指と人差し指でマルをつくってみせる。“正解”ということだろう。
「能力でなんとかなった的な?」
夜凪の問いかけに、男はちょっと眉をしかめてみせる。タブレットの背面を夜凪の眼の前にかざすと、右手でそこに貼られたシールをなぞる。
「『ちょっと待っててね』……あー、はい。なんか、すいません」
しばらく待っていると、男がくるりとタブレットをひっくり返して画面を見せてくる。読めと言うことだろうか。そこには大きめの文字が並んでいる。
『こんにちは〜!』
簡潔に一文だけ。さっきまで一体何を打ち込んでいたのだろうという疑問が夜凪の頭を駆け抜けていった。
「え、それだけ。俺3分くらい待った気がするんすけど、き、気のせいかなー」
男が画面をひっくり返し、ササッと何か打ち込むとまた見せてくる。
『一体何を期待していた?』
「さっきより時間かかってないのにさっきより長い文章じゃん!? いや、何を期待してたって言われても……」
夜凪は男をしっかり見てみる。見れば見るほど聞きたいことが湧き上がってくる。さっきのあれはどういう状況だったんだとか、どういう類の能力なんだとか、そもそもずっとタブレットでやり取りしている理由だとか。
だが夜凪はこの短いやり取りでなんとなく理解してはいた。この男に何を尋ねてもまともに返ってこないだろうと。
「じゃあ名前は?」
『とりあえずカンパネルラ』
「あ、そういう感じ。名前教えたくないってことっすね」
『透』
「あー、俺は遠野夜凪っす。透さんもヒーローなんすよね、俺も一応同業者です」
『死体役は得意です! 週5でシフト入れます! 同業者だったんですね〜』
どういうこと、という言葉を夜凪は全身全霊で飲み込んだ。
自分のことをまともに話す気がなさそうな透の扱いに困り始めている。
ほっといてさっさと帰ろう、と夜凪は戦線離脱を選んだ。
「お、俺もう行きますー。じゃあ」
手をふると、透は笑顔で手を振り返してくる。
変な人もいるもんだなと夜凪は思った。
そしてもう合うこともないとも。
2週間後、再会することを今の夜凪は知らない。
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keim(プロフ) - 猪少女/ウテラさん» 猪少女さん宅の子は可愛い子がいっぱいいて、いつかうちの連中と絡ませてえなと思っておりました! 近々お借りします〜 (4月25日 22時) (
レス) id: 889194ab4a (このIDを非表示/違反報告)
猪少女/ウテラ - 自キャラが三人もいるなんて幸せとよ… (4月25日 22時) (レス) @page13 id: 2e63652ac0 (このIDを非表示/違反報告)
keim(プロフ) - ゆきのこ(ゆきねこのサブ)さん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!CS見た時から紬糸さん大好きで、いつか書きたいと思っておりました…!近々書きたいと思っております〜。 (4月24日 18時) (レス) id: 62104cc946 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきのこ(ゆきねこのサブ) - すっごくすてきなこの作品をすべて拝見させていただきました！！今後書きたいやつメモに書いてありましたのと、何よりも私が見たいので良ければうちの紬糸のお話をぜひぜひ書いて頂けると嬉しいです！ (4月24日 18時) (レス) @page13 id: 3cb71f1597 (このIDを非表示/違反報告)
keim(プロフ) - ありがとうございます! そう言っていただけると嬉しいです。いつか軽巳亜さんとかお借りしてお話書きたいなとか思っております…! (4月16日 20時) (レス) id: 62104cc946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：keim | 作成日時：2024年4月6日 0時
