▼ ページ11
玲於 side
あの男も、一人の女にちょっかいかけたせいで、あんな思いして、大人数の前で最後に恥晒すハメになるとは思わなかっただろう。
まぁ、女の選択ミスったっていうのが、運の尽きなんだろうけど。
男の無様な姿に、何度目かの溜息を零した瞬間、今まで静かに一部始終を見ていた広さんがソファから腰をあげた。
「生きることへの執着が強い男は、嫌いじゃない」
革靴の音を鳴らしながら、男に近づく広さんに部屋の中の視線が集まる。
「どうやらお前の友達は、お前より執着心が少なかったみたいだな。」
「…ギブアップしちゃったよ、おともだち。」
男の耳元でそう言って口角をあげる敬浩さんに、目を見張りノロノロと連れの方を見た男。
小便垂らして、目かっぴらいたまま死んでる連れの姿を目にした男が、声にならない悲鳴をあげた。
「俺は、お前のその執着心を買いたいと思ってる。」
男の前に膝をついた広さんが、ゆっくりとそう告げた。
「生への執着は、時には運も呼ぶ」
「生きたいなら、お前の執着心と、友達の運を武器にして、勝負してみないか？」
男の腫れ上がった顔を覗き込み、そう言った広さんは、男に静かに拳銃を差し出した。
「実弾は2発、装弾数は8発。引くのは1回でいい。」
「お前の強い執着心と、大切な仲間の運をかけて、証明してみろ。」
シリンダーを回した拳銃を、男の手に握らせようとした広さんに、床に寝転がったまま、ガタガタと震えた男が、僅かに首を振る。
「…生きたくないのか？」
男を見下ろし、諭すように聞く広さんに、首を振り続ける男。
「生きたいんだろう？」
広さんが静かに問うと、男がぴくりと指を動かした。
「だったら賭けろ。」
そう言って男に拳銃を握らせ、眉間に皺を寄せた広さんは、
「どうも頼りないな、予行練習でもするか？」
と、漏らし男の折れてる膝を軽く叩いた。
「弾は2発だから当たる確率の方が低い。もし当たっても膝ならなんとかなる。確率も、さらに下がる。」
そう言って、拳銃を軽く掴んでいる程度の男の手を引き、拳銃の銃口をだらしなく伸ばした膝に向けた。
「自分を信じて、引け」
焦点の定まらない目で自分の膝を見つめた男が、広さんの言葉に触発されたように、トリガーを引いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1298人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「GENERATIONS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やぁ(プロフ) - こんばんは。はじめまして！この作品が大好きで何度も読ませて頂いております。9のパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願い致します！ (4月8日 23時) (
レス) id: afb0f19d33 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - こんばんは🌃いつも楽しく見させて頂いています。９のパスワードを差し支えなければ教えて頂けないでしょうか? (1月3日 21時) (レス) id: 9ba221d380 (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - はじめまして。この作品が大好きで何回も読ませていただいております！もし、差し支えなければ9のパスワード教えていただかないでしょうか？ (12月16日 16時) (レス) id: 8ef99b4bc6 (このIDを非表示/違反報告)
博子(プロフ) - 続きが読みたいので、パスワードを是非教えて下さい！ (9月17日 7時) (レス) id: dc8dec8862 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 初めまして。最近この作品と出会って一気に読ませていただきました。続きはもう読めないのでしょうか？ (7月14日 10時) (レス) id: 222fa2acf1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：jiu.
| 作成日時：2019年6月2日 20時
