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『駄目っ、! 』
優芽の元に戻り、直人くんが受け取ろうとした紙を奪う。
優「ちょ、A…『私が貸すから!』
『 私が、5万でも10万でも貸すからっ、!』
「何…言ってんの…」
『私から、っ、借りてっ、ここは駄目っ、ここで借りちゃ駄目…っ、』
「A…」
『ここで借りたらっ、一生、…返せないっ、』
私の言葉と必死な様子に、正面に座る直人くんの顔を見る優芽
小さく首を傾げ、口角を上げて嗤った彼は、私の知らない、仕事の時の顔をしていた。
直「ねぇ、おねぇーさん。」
片岡さんが、私の袖を掴む。
『っ、』
「営業妨害、なんだけど?」
『 すみません』
猛々しい光が宿るその瞳に、小さく謝罪述べる
「でさ、金借りんの?借りねぇの?どっち?」
口元に笑みを貼り付けたまま、優芽を見つめる。
彼から私に視線を移してきた優芽に、小さく首を振った。
「…借りません、ごめんなさい」
優芽の言葉に、ソファに背を預けた片岡さんが、
「あっそ……なら、さっさと帰ってくれる?」
無表情で私達を見る。
『すみません失礼します』
静かに腕を掴むと、立ち上がる優芽。
優芽と2人で事務所の出口へ向かう。
ドアの前に立つ亜嵐くんは、興味がないみたいに、真っ直ぐ前を見つめたままだった。
事務所の扉を閉め、階段を降りる。
『雅人くんと優芽の問題に首突っ込んで、ごめん……でも、こういう所で、お金は絶対に借りちゃ駄目。』
「っ、何で…だって、10万なんて、給料入ったらすぐ返せるし…、」
私の言葉に立ち止まって唇を噛む優芽。
『…給料入るのいつ?』
「25日、だけど…」
『こういう所って、多分利子が凄くつくの。…3日とか5日すぎる度に、2割とか3割とか…25日まで待ってたら、…』
利子が膨らんで、きっと凄い金額になる。
「嘘…私、知らなかった、」
飲み込んだ言葉を察した優芽が、怯えたように事務所を振り返った。
「名前、書いちゃったんだけど、平気かな…」
『え?書いたの!?印鑑は!?』
「えっ、押すとこあったか、わかんないっ、」
動揺する優芽を置いて、階段を駆け上がる、
『待って、借用書っ、それっ、』
勢いよく扉を開けると、煙草を吸いながらシュレッダーをかける片岡さんが振り向く
「あれ?印鑑なかったし、そもそも金渡してねぇから、無効かなって…」
違うの?と私を見る、“直人くん”に腰が抜けそうになる
『ごめん大丈夫何でもない……ありがと、』
呟くように言って、静かにドアを閉めた
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happytaimama(プロフ) - 今晩は。こちらの作品何度も読み返して読ませてもらっています。続きを読みたいので、パスワードを教えていただけますか?宜しくお願いします。 (2月16日 18時) (レス) id: 4f1df4c5a4 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 感動しました。 (2020年12月16日 14時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - もう更新はないのでしょうか……? (2019年1月25日 23時) (レス) id: 5703e26db8 (このIDを非表示/違反報告)
м i i(プロフ) - 続き楽しみにしています!! (2018年12月28日 1時) (レス) id: 223aa4411e (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 待ってますすすすby mj (2018年12月24日 18時) (レス) id: 866e6acc2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jiu. | 作成日時:2017年11月22日 11時