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結局あれからマサイには何も言えぬまま金曜日を迎えてしまった。
今日はマサイの家にご飯を作りに行く日。
私は憂鬱な気持ちで会社へと向かった。
マサイに会いたくない。ダーマにも会いたくない。
ダーマの約束また守れそうにないし、今のこの気持ちでマサイにも会えない。
『おはようございます。』
「おはよう。……空井さん大丈夫?顔色ものすごく悪いわよ。」
社長の奥さんの美智子さんに言われて私は慌てて鏡を見た。
鏡に映っていたのは真っ青で酷い顔をした自分だった。
「ちょっとお熱測ってみましょう?ね?」
美智子さんに言われるがまま私は体温計を脇に挟んだ。
音がなり体温計をとると、そこには37.5℃という数字。
「やだ、大変!やっぱりお熱があるわ。今日は帰りなさい。」
『すみません。ご迷惑かけてしまって……。』
「何言ってるのー。いいのよ。ゆっくり休んでちょうだい。1人で帰れる?」
『はい、大丈夫です。すみませんがよろしくお願いします。』
「えぇ。気をつけてね。」
『はい。』
美智子さんは優しく私のことを見送ってくれた。
でも熱があって良かったな。
これでマサイとダーマに会わなくて済む。
私……最低だ。
私は家までゆっくり歩きながら帰った。
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やっとの思いで家に着く頃には体はさっきよりもだるく感じて、立っているのがやっとだった。
測ると熱は38.0℃を超えていた。
私はマサイに助けを求めるように電話をかけた。
会いたくなくてもこういう時に会いたくなって頼ってしまうのがマサイ。
私はいけない女だ。
最低最悪な人間だ。
『もしもし、マサイ。助けてほしいの。』
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作者名:夢 | 作成日時:2023年1月21日 2時