イエローリップ・ストーリー【S.S】３’ (ページ24)

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＃９４ページ24

Aの声も顔も全部見なくなってから5日。

あんなにも快晴続きだったのに今日はどんよりとした空。

味のしない弁当はまずかった。

Aと一緒に食う飯はどんな飯よりも美味しかった。

隣に笑った彼女さえいれば、俺はどんなことだって乗り越えられる。

本気でそうやって思えた。

「A、どうしてんのかな…」

俺の気持ちを表したような空に呟けば、返ってくるはずもない答え。

涙を流してんのかな。

それとも笑ってる？

俺と会えなくて寂しいって気持ちが１ミリでもいいからあればいいのに。

なんて卑怯な願いを空に託す。

「翔ちゃん、最近ご飯ここで食べてるよね。」

外のベンチでポツリといた俺に、ニノは遠慮がちに呟く。

「あぁ…そうだな…」

こんな日、いつまで続くんだろう…

もしかして、この先ずっと…？

いやだめだ、そんなこと考え出したら俺のメンタルがもたない。

「なんかあったんでしょうね、聞かないけど。」
「お前は俺のことがよくわかってるな。」
「伊達に翔さんの友達やってませんからね。」

そう言って一人分くらいのスペースを空けて、俺の隣に腰掛ける。

「後悔するのは一番良くないことだよ。」

彼はそう言って市販の缶コーヒーを細々と飲んだ。