第五人格、バトルロワイヤル！ (ページ10)

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A視点

今日も今日とて、試合は始まる。
と言っても、今回の試合は私は実況担当である。同じ実況担当のハンター、白黒無常の白の方は、試合前の今、私の目線と合わせて会話をしてくれている。

「実況ですか……したことないんですがね。」

「みんなした事ないでしょう。もっとも、昨日試合を実況していた、リッパーはノリノリで、空軍さんに引かれていましたよ。」

そんなことがあったのか。
私はいつも冷静で紳士なリッパーさんが、ノリノリで熱くなって実況している姿を想像する。
新鮮だなぁ。

私がそんなことを想像していると、白無常さんが、「ところで、」と思い出したように話し出した。

「心理学者さんは、銃の扱いになれているそうですね。どこかで経験されたんですか？」

扱いになれているそうですねってことは、誰かから聞いたってことだ。実況していたリッパーさんか、それとも、一緒に試合をしたサバイバーか……？どっちにしろ、いい話ではない。

「んー、慣れていると言うより、才能ですね！」

私がわざと誤魔化そうと冗談を言ってみると、白無常さんは目を丸くし、やがてニッコリとほほ笑んだ。

「面白いですね、貴方は……あー、試合が始まってしまう。ここらでお暇しましょうか。」

そういって、白無常さんは立ち上がる。
私へ向ける視線は先程よりも柔らかいものになっていた。きっと、銃を扱っていたってことで警戒していたんだ。この反応は正解だったかな。

でも、油断出来ない。
少なくとも、これに気づいている人がもうひとりいる。白無常さんに教えた人が。

早くその人とコンタクトを取らなければ。
探られるのは趣味じゃない。