10話 ページ10
○
「…夢……」
昔の夢を見た。
もう随分と前の話だし、おじさんおばさんの元から離れている今こんな夢を見たのは、きっと快斗くんと再会したから。
快斗くんに出会ったのは、あのすぐ後。
元の家に戻ろうとしたわたしが、公園にいたときだった。
あのときの快斗くんに、どれだけ救われたか。
今までわたしがずっと思いかえしていたくらい、わたしにとって快斗くんは大きな存在だったのだ。
いつの間にか寝てしまっていたわたしは辺りを見回す。ふと、宝石が目についた。
窓辺で月の光に照らされてきらきらしている宝石を持って、わたしは外に出た。
なんだか、外に出たくなったのだ。
今は夜の9時。今日は何かあったのか、なんだか少し騒がしいような気がする。
またあの公園に来てしまった。
ベンチに腰かけて、月に宝石をかざしてじっと見つめる。
角度を変えてきらきらする様を見ていると、昔のことを思いだして、なんだか泣きそうになった。というかもう涙が目に溜まっていた。
わたしがすん、と鼻をすすったとき。
「お嬢さん、こんな夜に外へ出ると危ないですよ」
突然、声が降ってきた。
ぱっと上を見ると、街頭に立つ人影がひとつ。
白のスーツにマント、シルクハット。
最近
「怪盗キッド…!?」
わたしは目を丸くした。テレビや新聞とかで見たことはあったけど、本物は初めて。
ああ、そういや怪盗キッドファンの園子ちゃんが言ってたな、今日は予告状に記されていた日だって。
だから夜なのになんだか少し騒がしかったのか。
さっきまで感傷的だったのに、まさかの偶然なサプライズで全部吹っ飛んだ。
ぱちぱちと瞬きをすると、さっき溜まっていた涙が流れた。
その涙と一緒に、泣きそうだった気分も消えていった。
それくらい、月の光にてらされている怪盗キッドに、目も意識も奪われていた。
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時