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11話 ページ11




怪盗キッドは(ふところ)からきらりと光る宝石を取りだして、月の光にかざした。

そんな姿も様になる怪盗キッドは顔が見えなくても雰囲気がかっこいいのである。


するとキッドは、ふう、と息を吐いてわたしの方を見た。
わたしはずっとキッドを見ていたもんだから、ばっちり目が合う。いや、目まで見えてないけど。

目をそらすのも感じが悪いかと思って、宝石を指さした。


「その宝石って…」


「ああ、これは先程頂戴してきたばかりの宝石ですよ
残念ながら、私が探している宝石(モノ)ではなかったようだ」


そう言って肩をすくめてみせたキッドは、街頭からすとっと飛び降りた。



「最後にひとつマジックをさせて頂きましょうか」


私の前まで歩みよると、どこからか出したハンカチで私の頬を伝っていた涙をそっと拭いた。

と思えばハンカチはぱっとウサギの形に変化した。


「夜道は危ない、はやく帰った方が良いですよ

レディを送らずここから去るのは気が引けますが、このウサギがきっと守ってくれます」



ではまた、そんな言葉と煙幕を残してキッドは消えた。

これも夢なんじゃないかと思ったけど、私の手には確かにウサギの形をしたハンカチがちょこんと乗っている。


キッドのささやかなショーで、わたしの沈んだ気持ちは吹き飛んだ。

くすっと笑ってから、わたしは帰路についた。
鼻歌なんて少し歌いながら。






「おお、坊っちゃま!戻られましたか


…どうかされたのですか?」


「…いや」



__好きな子の涙って、ああも堪えるんだな





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設定タグ:まじっく快斗 , 黒羽快斗 , 怪盗キッド   
作品ジャンル:アニメ
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時

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