6話 ページ6
○
「なんでそんな準備いいんだよ…」
わたしが手を掴んで離さないから、快斗くんは観念したように大人しくなった。
そしてわたしの準備の良さにつっこんでくる。
「自慢じゃないけど、わたしよく怪我するから持ち歩いてるの
…え、なに笑ってるの快斗くん」
快斗くんが噴き出した。今の話のどこに面白い要素があったのか。
「いや、イメージ通りだなって…」
そう言って笑いを堪えている。
わたしが鈍臭そうに見えるってことか。昨日会った時もわたしコケてたし、鈍臭いのは事実なので言い返せない。
「もう!…ほらできた、家帰ったらちゃんと絆創膏貼り替えてね
マジシャンは、手が命なんだから」
そう言うと、快斗くんはちょっとびっくりしたような顔をした。
「え、あれ、もうマジックやってなかった?」
その反応に不安になって、ちょっと焦る。
地雷踏んだりしてたらどうしよう。
すると返事の代わりとでもいうように、目の前にポンと花が現れた。
あのとき初めて見せてくれたのと同じ手品。
「ふ、今もやってるよ」
なんだ、と一安心する。ちょっと騙されたみたいな気分になったから、絆創膏貼った手をぺちっと軽く叩いてやった。
…にしても彼はどんな表情しててもイケメンだなと思う。
今までいっぱいいっぱいで顔をちゃんと見てなかったけど、なんか、こう、パーツが整ってる。
わたしがまじまじと見つめていると、快斗くんとばっちり目が合った。
彼の瞳がじっとわたしを見据える。
「…快斗くん、どしたの」
沈黙に耐えきれず、口を開いた。
すると快斗くんはハッとして、目線を公園に移す。
「…A、今時間あるか?」
「へ?、あるけど…」
「ちょっと、昔話でもしよーぜ」
そう言って立ち上がり、軽く制服についた砂をはたいて落とした。そしてそのまま公園に入っていった。
…なんか絶妙に話をそらされた気がするけど、助かった。
わたしの顔が、火照ったように熱い。
真っ赤に違いないから、見られなくて安心した。
…また、快斗くんのことが頭から離れなくなってしまう。
『それは恋よ、こ・い!!』
ただ園子ちゃんの言葉が、わたしの意識にはっきり残っていた。
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時