33話 ページ33
○
「今日はな、俺も打ち明けに来たんだよ」
少し目を逸らして頭をかいてる快斗くんに、はてなマークを浮かべた。
快斗くん、何か隠してたのだろうか。
すると快斗くんは意を決したように口を開いた。
「俺、怪盗キッドなんだ」
短い、たったそれだけの言葉。
しかしそれは、わたしを驚かせるのには十分だった。
「…っへ、ええ!?」
最近
あの白いスーツにシルクハット、キザな言い回し。
どれも、目の前で学ラン着てる快斗くんからは想像がつかなかった。
え、というか。
「今まで夜に会ってたのも、快斗くんだったのか…」
この公園に来たとき、予告された夜は決まって怪盗キッドが現れた。
あれも快斗くんだったんだ。うわ、なんか恥ずかしい。
「…けど、言っていいの?
怪盗って、ミステリアスなのが魅力的なんじゃなかったっけ」
以前怪盗キッドと会話したときのことを思い出す。
快斗くんは自分で言った言葉が恥ずかしいのか、ちょっと顔を赤くしている。
「なんでんな事覚えてんだよ…
そのミステリアスさを貫きたかった俺が正体バラして言ってんだよ、ちったあ察しろ」
ええ、そんなこと言われても。と返そうとしたが、ふとひとつの考えがよぎった。
その瞬間、わたしの顔が真っ赤になる。
わたしの反応を見て、快斗くんもまた顔を赤くしていた。
「…あー、そうだよ
おめーのことが、Aのことが好きなんだよ」
じっと目を見て言ってくるから、わたしも目を逸らせなくなる。
目がばっちり合うから、顔の熱が引かない。
快斗くんは何かがふっきれたのか、言葉を続ける。
「好きだから、隠しごとしたくねぇと思ったんだ
Aが俺に打ち明けてくれたみたいに、俺も言おうと思ったんだ」
そっか、そうだったのか。
快斗くんにとって1番の秘密だっただろうに、言ってよかったのか、と思った。
けど、その秘密を打ち明けてくれたのが、好きだって言ってくれたのが嬉しかったから、口を
「…わたしも」
好き。
わたしも、快斗くんのことが好きだって伝えようとした。
けれどそれは、快斗くんに人差し指で止められた。
「知ってる。
…けど、まだ言わないでくれ」
どういうこと?と、首を傾げる。
快斗くんの目は、月の光に照らされ揺れていた。
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時