2話 ページ36
●
次の日。
昨日の彼女…Aの笑顔が忘れられず、柄にもなくため息をつく事が多かった。
幼なじみの青子にバ快斗がため息ついてる…明日は雨だ…なんて言われているのが聞こえた。
しかしそれにつっかかって反論する元気はなかった。
それは下校中まで続き、少しボーッとしながら歩道を歩いていたときだった。
「にゃあ」
猫が横断歩道に飛び出し、それを追いかけるように走り出そうとする人が。Aだ、と確信して、2歩踏み出す前に彼女の腕を掴んで引き留めた。
そしてそのまま猫の救出に向かう。
車スレスレのところで抱き上げ、勢いよく向かいの歩道に突っ込んだ。
青信号になって、Aがこちらに駆け寄ってきた。
俺は未だにぼけっとした顔のAの方に向き直る。そして、怪我したらどうするんだと怒った。
Aが飛び出したとき、俺の心臓が止まりそうになったんだ。これぐらい怒っても無理ないだろ。
「ったく、Aに怪我がなくてよかったよ」
しかし俺は怒るより安心が勝っていたから、笑いかけてわしゃわしゃと頭を撫でた。
撫でたのは会えて嬉しくて変なテンションだったからかもしれない。思い返すと恥ずかしい。
しかしAが俺の手の怪我に気がついた。
俺は咄嗟にパッと手を後ろに隠した。
Aはわりと頑固だ。
手を掴んで見せろと離さないから、俺は諦めて身を任せた。
そして怪我が絶えないと大真面目に話す彼女は面白かった。堪えきれずに噴き出した。
イメージ通りだと言うと彼女は少しムスッとした。うわ可愛い、って思った。
「もう!…ほらできた、家帰ったらちゃんと絆創膏貼り替えてね
マジシャンは、手が命なんだから」
俺がマジシャンという単語に驚いた顔をしたからか、Aは少し焦ったような顔をした。
その様子が面白かったから少し笑いながら、あの時と同じ花を出すマジックを披露して、今もやってる、と伝えた。
するとAは安心したような表情をしたあと、悔しそうに俺の手をぺちっと叩いてきた。
コロコロ表情をを変える彼女は可愛いの一言に尽きる、と思った。
ふと視線を感じてAの方を見ると、じっと見られていた。
可愛いな、と見つめ返していたとき、どうしたのか聞かれて我に返った。
俺は自慢のポーカーフェイスを保って目線を公園に移す。
そして適当に話を逸らして、そそくさと公園に入った。
危ない、悟られたら恥ずかしいと、赤い顔を隠した。
この時点で、かなり惚れ込んでいたのかもしれない。
.
446人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「怪盗キッド」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(;; ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます! (2020年4月24日 13時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます! (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - 。゚(゚´ω`゚)゚。快斗×夢主がヤバイよぉぉお!! (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう!って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです!本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます!また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みすと | 作成日時:2019年5月8日 21時